車はパアン市からサルウィン川を渡り、AH1号線を西へ走り続ける。

左写真は道に面して並ぶ集落。小商いをする人たちが国道沿いに住むようになって成立した宿場町なのだろう。

道沿いの家はかなりの割合で何らかの商売をしている。飲み物や駄菓子を売ったり、カフェをやったりしているのだ。こんなにお店だらけで商売が成り立つのだろうかと、不思議でならない。

この道はヤンゴンから陸路でパアン市に入るときに通ったので少し見覚えがある風景だった。もう10kmは走っただろうか。隣町のタトンまでは大きな町はないはずだ。

あ、あの岩山は山頂にパゴダが建っていて、気になっていた岩山だ。

どうやらこれからその岩山へ連れていってくれるようだ。あとでタクシーをチャーターして見に来ようかと思っていたので手間が省けた。

総門は赤く塗られた柱の上に、お寺の建物が載っている。

柱の上には左右にカレン族のアイコンである「陣太鼓と水牛の角」そしてカレン民族の旗が掲げられている。

総門の左右には黄金のライオン。

総門から境内までは500mくらいの参道だが、土の色が真っ赤。この地方にはこうした赤土の土地が多いのだが、この道はもともとは赤くなく、客土によって赤くしてあるのだと思われる。

わぉ。これはただならぬ寺！

珍寺というのとも違う、ミャンマー独特の「楽しい寺」に違いない。

山門はまだ造っている途中だった。その先には土産物屋があり参道は中を通り抜けている。

参道は潅木で出来たトンネルだ。不思議な風景。

潅木のトンネルを抜けると池があり、ファンシーな建物群が見えてくる。

この池がすべて温泉、つまり、巨大な露天風呂なのである。

遊園地に作られたおとぎの国にしか見えない。いま自分が寺を見ているのだということを忘れてしまいそうな風景。

金色の建物は船の形をしている。

船型の建物の隣には、パゴダをお神輿みたいに担いでいる四人の神様。

赤い柱の上には、チャイティーヨーパゴダのレプリカと、おそらく教典の模型。

岩山の上には踊りを踊る神様。アニメーション的な表現なのだろう。

遠目ではっきりとは確認できないが、天部の神ではないかと思う。

角のあるコブラのような神像がナーガだ。蛇ではなく龍だ。

このように単独で祀られているときと、仏像の光背のように祀られるパターンがある。

変な鳥がいた。

カラウェイ、もしくは、ハンサーという霊鳥かと思う。

赤い柱のかげで、修行僧が沐浴しいる。

伽藍の下の巨大露天風呂は、たぶん僧侶と修行僧専用で、参拝者は入浴できない。

いっぽう、通路の反対側の池で泳いでいる人たちがいた。この池にも温泉が流れ出ているので暖かいのだ。

「泳ぐ？、泳いでもイイヨ」てなことを言われたが、水着もタオルもないのでやめておいた。

この寺、パアン市街からは片道20kmくらいあるので気軽に行き来できないが、もしもっと市内に近ければ本当に温泉に入りに来ただろうと思う。なにしろホテルのお風呂はお湯を溜めるどころか３分くらいで水になってしまうので、お風呂にはかなり飢えていたからだ。

このときは足湯だけにしておいた。

僧侶専用の池の温度が高く、そのお湯が流れ出て外で池になっている。流れ込んでいるあたりに足をつけてみたが40度くらいありそう、けっこう立派な温泉だ。

池全体はそこまで水温は高くないだろうが、ミャンマーは冬でも日本の夏なみの気温だから、冷たくは感じないと思う。

ちなみに足湯をしているこの池は「男湯」である。

「女湯」も別途ある。

左写真の壁の向こうが女湯だ。

横を通るとき、チラと中が見えたが、女性はＴシャツを着て入浴(?)していた。

けっこうな勢いで排水されているので、立派な温泉旅館が造れそうなくらいのお湯がここにはある。

この温泉の周囲には野生のサルが出没するので、入浴中にサルに荷物を盗まれないように注意しなければならない。

尾の長いサルだった。

引き続き、この寺の奥の院へ向かう。