北倉の笠塔婆

県重文のめずらしい形の塔婆。

(群馬県甘楽町天引)

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北倉稚蚕共同飼育所の敷地の入口に塚状の場所があり、そこに板碑が建てられている。

文化財の説明には名称が「笠塔婆」としか書いてないため、勝手に「北倉の笠塔婆」とした。鎌倉時代のもので、県重文。

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文化財の格付けというのも不謹慎だが、国宝>国重文>都道府県指定重文>市区町村指定文化財>国登録有形といった感じだろうか。国重文以上は誰が見ても納得、都道府県の指定は「見る人が見れば納得」というレベルの物件になる。

この笠塔婆は県重文なので、それなりに価値のあるものなのだろう。私には板碑の鑑定眼がないのでよくわからない。

案内板によれば、中央に阿弥陀如来の梵字、右に観音、左に勢至の文字もある三尊仏形式。さらに右側面に不動明王、左側面には愛染明王の文字も刻まれている点が貴重だとのこと。

群馬県全体に石造物の県指定文化財は18件あるが、この天引という字にはそのうち2件があり、いずれも笠塔婆である。群馬の南西部には板碑は多いが、それに笠を載せた笠塔婆は一定の価値をもつものなのだろう。

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同じ敷地には素朴な石仏があった。

左はおそらく馬頭観音、右は薬師如来だろう。特に左側の馬頭観音はいい感じ。こういう石仏に“××風"という言い方はあるんだろうか。

(2008年12月28日訪問)