市街地に移動。富岡市最後の組合製糸「かぶら社」を探しに行ったが別会社になっていた。その近くにあった神社に立ち寄った。
この神社は富岡地方での養蚕の神様といわれている。カイコや繭を食べてしまうネズミを退治するので、蛇は養蚕にとってよい動物とされているからである。
鳥居は両部鳥居。
境内に入って最初にある末社。名前はかすれていて読み取れなかった。
この神社の境内や近辺は古墳群なので、この基壇の部分も古墳の可能性が高い。
境内はかなり広いのだが、社殿の配置がとりとめもなく、樹の生え方もあまりバランスがいいとは言えない。
地域の有力な鎮守などで、他の小さな神社を合祀して建物を増やしていったあげく、まとまりがなくなってしまったのをたまに見かけるが、そんな感じか。
神楽殿。
神楽殿だけ境内の真ん中に突き出すように配置されていて、この神社の社殿配置を混乱させている一因となっている。
奥に見えるのは社務所だが、神楽殿がなぜその位置にないのか不思議だ。
境内の北側には蔵があり、オオツノシカの化石を所有していると書かれている。この化石は、以前に紹介した黒岩の大日堂にスケッチが残っているといわれているものと同じものだろう。
境内の北側は富岡高校の校庭に接している。富岡高校はもと七日市藩の陣屋があった場所で、この化石もいったんは七日市藩主に納められ、のちに神社に寄贈されたものだという。この蔵に収蔵されているのだろうか。
拝殿と水盤舎。
水盤舎の横に玉垣に囲まれた丸石がある。
蛇宮神社の神様は鏑川に棲んだ白蛇と言われていて、この石は神様が川から投げ上げたものとされている。
祖母からこの神社の話を聞いたことがある。
蛇宮神社の猫石という石の周りに小石があり、それをひとつ持ち帰ると、神様が付いてきてネズミを防いでくれるそうだ。実際に祖母が子供のころ、家のハリに大きなアオダイショウがいて、「あれが神様の使いなのかなぁ」と、怖いようなありがたいような気持ちになったということだった。1年の養蚕が無事に済むと、同じような石を探して、2つにしてお返しする決まりだったという。この風習は以前に咲前神社でも紹介しているが、蛇宮神社のほうが子供のころから聞いていたのでなじみがある。
だが、今回それらしい小石は見当たらなかった。高校時代にに来たときにはあったような気がするのだが、猫石はこれとは別だったのだろうか。
本殿は、切妻向拝つきの神明造。
本殿の裏側に富士塚状の塚がある。
これもおそらく古墳だろう。
(2008年09月20日訪問)
日本のお寺・神社 絶壁建築めぐり
単行本(ソフトカバー) – 2019/6/22
飯沼義弥 (著), 渋谷申博 (監修)
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