大島鉱泉

銭湯のようなひなびた鉱泉宿。立ち寄り入浴可。

(群馬県富岡市大島)

泊まりの旅に限らず、私は遠出したときはなるべくご当地の温泉に入るようにしている。したがって、これまでにレポートしてきた旅でも、幾多の温泉に入ってきた。ちゃんと数えたことはないが、その数は200~300箇所くらいはいっていると思う。だが、温泉紹介は専門のサイトがけっこうあるし、肝心の浴室の写真が掲載しにくい関係から、本サイトでは温泉施設を紹介することはあえてしてこなかった。

その方針は今後も変わらないと思うのだが、それでもなお、紹介してみたいと思わせる“すきま"温泉がいくつかある。大島鉱泉はそのひとつだ。

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場所は大島の百八灯の行事や、北向観音のある山のふもと。一軒宿でひなびた感じやその立地から、どういうシチュエーションの客が利用するのか不思議な宿なのだが、実は立ち寄り入浴が可能なのである。しかも一軒宿にありがちな昼のみの営業ではなく、12:00~20:00まで銭湯価格で入れるという利用しやすい施設なのだ。

そうは言っても民家のような外観や、営業しているのかよくわからない雰囲気から、この種の温泉訪問によほど慣れていないと、玄関を入ることはできないだろうと思う。

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お風呂は内湯のみ。泉質はほのかに硫黄臭がし、色はわずかに黄土色がかって見えた。名前だけの温泉ではなく、泉質は感じられる。

男湯の浴槽はカランからの鉱泉湯の投入だけの溜め湯。お湯を張った直後はめちゃ熱く、そのあとは冷めていくというタイプ。その証しに、湯もみ用の板が常備されている。(女湯には循環の口があるらしい。)

溜め湯は衛生上あまり客が多い施設には向かないが、本来の泉質を堪能しやすいし、落ち着いて入浴できるので、私は循環よりも好きだ。

おかみさんの言によれば、浴槽だけでなく、洗い場のカランも鉱泉水とのこと。

洗い場にシャワーがなく、脱衣所にドライヤーがないなど基本的には通向けなのだが、群馬県南西部では一度は行っておきたい温泉だ。

(2013年11月24日訪問)