足門の稚蚕飼育所は完全に個人の宅地一部になっていた。
屋根は軽量鉄骨。構造は一列型のブロック電床育。
内部は物置になっていて、散らかっているからということで入らせてもらえなかった。蚕箔が2列入る室が片側に8個あったように見えた。
室の戸は木製で、下に換気窓のようなものがあるのが特徴だ。
また床の中央にうっすらと白い線が見えるが、これはレールの跡で、蚕座(あるいは桑葉を載せたワゴン?)が移動したのだそうだ。これについては、話の内容がよくわからなかった。
貯桑場は地下ではなく、北側の軒の部分にある。
群馬の稚蚕飼育所の貯桑室は多くは地下になっていて、夏でも中に入るとひんやりしている。これは桑の葉の鮮度を保つためだとされている。
地下でない場合は、壁に水を打ち、桑を入れた籠の上に濡れた布をかぶせることで乾燥を防いだはずだ。
この飼育所は元々は東西に二棟が連なったような構造になっていたそうで、西半分は取り壊されて隣家になっている。
確かに、桁が途中で切断されているのが確認できた。
飼育所跡の南側には養蚕農家があった。
手前に見える畑は桑畑である。枝ぶりからして春蚕(はるご)を育てるために仕立てられている畑だと思う。
(2007年05月03日訪問)