宮島の土産物屋街から大聖院へと続く道を滝小路というそうだ。卯建(うだつ)を上げた町屋が続くいかにも風情のある道だ。 その道の途中に、林家という社家がある。国重文に指定された民家だ。 「社家(しゃけ)」というのは、辞書の上では、世襲で神社に仕える神職の家のことだ。だが、実際には普通の神社にある社務所や宮司の住宅は「社家」とは言わない。「社家」という場合は、大きな神社の境内の"外"にあって、寺でいう「塔頭(たっちゅう)」に近いものを指す。 つまり、神社で社家があるところは、寺でいえば塔頭があるのと同じく、それなりに大きな神社ということになる。主観的には、寺の塔頭より神社の社家のほうがやや貴重に思える。社家が数軒以上あって、社家町を形成している神社は最上級といってもいいだろう。 本サイトでは、これまでに社家っぽいものを2箇所(魚沼神社、岡谷稲荷神社)で紹介したが、この林家は初めて紹介する本格的な社家だ。本格的すぎて見学できないのが残念だが。 (2002年08月29日訪問)