忠海港からフェリーで大久野島へ渡った。大久野島は戦時中に日本陸軍の毒ガス工場があった島でその廃虚が渡航の目的である。
で、その説明に入る前に断っておきたいことがある。それは「廃虚の見学は危険がともなうのでお勧めはできない」ということだ。廃虚サイトや廃虚本などを見たら決まって偉そうに、廃虚の危険性について書いてあるだろう。私はそういう偉そうな前置きは好きではないのだが、実際、これを書かないで本題に入ると、丁寧にメールで指摘してくださる善良な市民の方がいらっしゃるはずなので、まずはじめに触れておきたい。
ただし建前だけでなく、実感として廃虚は危険な場所だと思う。いろいろ危ない局面はあるのだが、ひとつだけ伝えておきたいのは、錆びた階段などが崩れるときは、アクション映画みたいにじわじわ崩れるのではなく、ポテトチップが砕けるみたいに一瞬で崩落するということだ。これに類似する状況は日常生活やレジャーではほとんど経験しないので、廃虚での踏み抜きにはホントに注意されたい。
さて島に着いてまず毒ガス資料館へと向かうつもりだったが、休館日だとわかった。土地勘がなかったので、船着き場からすぐ近くに見えた発電所のほうへ向かい、反時計周りに島を巡ることにした。
帰り際に知ったことだが、船着き場から時計回りに回れば途中に貸し自転車があるので、どちらかといえば時計回りがお勧めかも知れない。
船着き場から北へ歩くとすぐに巨大な発電所の廃虚がある。
厳重に立入を禁止しているふうではなかったので、入ってみることにした。
ツタに被われた美しい廃虚だ。
内部の主要部は3階の吹き抜けの大空間になっている。思わず感嘆の声をあげてしまうほどの壮大な空間だ。
一部分に詰め所らしき部屋がある。
奥に2階の部屋があり、この部屋から詰め所へ登れるようになっていた。
この手の階段は、踏み抜きが本当にコワイので全神経を集中して登る。
階段の踊り場から見た2階部屋の様子。
詰め所から見た3階部屋の様子。
この建物はどこもかしこもタルコフスキーの映画のひとコマのような美しさだ。来てよかった。
となりにあったポンプ室(?)の廃虚。
(2002年08月27日訪問)
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