この日、2番目に立ち寄った寺。
写真をみると寺の境内などは思い出せるのだが、なぜここに寄ったのか、場所はどこだったか、ということがさっぱり思い出せない。「すきま」と言うにも程があるだろうというくらい普通の田舎寺なのだ。しかも先ほど立ち寄った安楽寺のそばというわけでもないし、進路の街道に面しているというわけでもない。
ホント、自分でもよくわからない訪問地である。
あえて想像するなら、安楽寺のあるあたりから蒲郡市の市街地へ南下しようとしたとき、地図に載っているような広い道より、この寺のある住宅街の狭い道のほうに、なにか歴史の香りのようなものを感じて引き込まれたというような経緯だったのかもしれない。往々にして古い道を走ったほうが、何かを発見する可能性は高くてお得と言えるからだ。
確かに寺の前には秋葉山の常夜灯があり、古い道であることは間違いはない。常夜灯の回りには2つの小さな祠があった。
山門は薬医門。山門の前後は短い石段になっているが、風化した凝灰岩がちょっとした古寺の雰囲気を作り出している。このアングルから見るとまずまずのお寺に見える。
だが、山門を入ってみると、境内は殺風景で、本堂もいわゆる「本堂兼庫裏」という淋しいタイプ。本堂と言うより、玄関兼方丈というべきかも知れない。
向拝が曲がって見えるのは写真のせいではなく、本当に曲がっているのだ。
山門を入ってすぐ右側には切妻造の鐘堂。
鐘堂はわりとしっかりしていて、築40~50年といったところか。
他に境内には1間の水盤舎がある。
その先には大きな五輪塔があった。
背後に見える低く穏やかな山地は、いかにも南三河地方という感じで、この寺がどのような場所にあるのかをよく表わしているかもしれない。
寺参りに行くと、どうしても資料的に写真を撮ってしまいがちだ。だが本堂とか鐘堂のアップばかり見せられても、なかなかイメージが湧くものではないから、本来はこういう遠景の写真を多くすべきなのだろう。
(2002年02月09日訪問)
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