旧大浜警察署

各種復古様式とアールデコの折衷様式で大正末期の建築。

(愛知県碧南市錦町1丁目)

写真

下区民館。旧大浜警察署の建物で大正時代に建てられた。

道路の反対側には郵便局があり、この交差点は大浜の行政の中心部だったのであろう。

写真

建物は3段の高さに分けられる。3階のある塔屋、2階の半切妻の屋根、1階だけの付属棟が寄棟という構成は、建物のシルエットに変化と表情を与えている。

写真

玄関の部分は直線的な切妻だが、破風や柱の飾りはギリシャ建築をモチーフとした新古典様式を思わせる。

写真

全体的な意匠はあえて言えばアールデコであろうか。

塔屋はこの建物の最大の見せ場で、ゴシック様式の教会を思わせる。警察署の厳格さを演出するデザインなのであろう。

この建物を見れば、かつて大浜の港がどれほど栄えたかを想像することができる。

写真

そしてもう一つ、この建物を見て思い浮かぶのは、半田市のミツカンの研究所の建物。あちらは円柱形の塔屋で全体としてはネオルネッサンスだが、場所は衣浦湾を挟んで対岸になる。かつてミリンや醤油の醸造で対岸の半田市と競い合った時代があったのだろう。

(2001年11月24日訪問)