重殿湧水

池の中の石祠がいい感じだが、枯れていた。

(群馬県太田市新田市野井町)

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重殿(じゅうどの)水源。国指定史跡に指定された新田町湧水巡りのクライマックスともいえる湧水である。

だが、その有り様は左写真のごとし。目を疑った。

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四角い水源で外壁は石垣になっている。北側には小さな石祠が祀られていて、よくあるコンクリートの池のような味気なさは感じない。

アンドレイ・タルコフスキーの映画「ノスタルジア」のラストシーンに登場する温泉を彷彿とさせる湧水で、私はかなり気に入っていただけに、この光景にはショックが隠せなかった。

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かつては石垣が白く見える部分まで水があったのである。祠が水没しないように作られていただろうから、おそらく何十年と水位が変化することはなかったのだろう。

それが今はまったく湧いている気配はない。雨水が溜まっているだけだ。

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重殿水源から流れ出た水は、横の用水路へと入る。この地点が一級河川大川の水源と書かれているが、1滴の水も流れていなかった。

写真中央にみえる白い箱は水量を測定しているセンサーらしいが、これではまったく測定にならないであろう。

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前回訪れたときの様子。

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人々の生活の中に取り込まれ、水神の祠が祀られている景観は、他の水源に比べて歴史を感じさせるものだった。

このときも、石垣に白い帯が若干見られるが、水面は石祠のぎりぎりまできているのがわかる。

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もちろん水は清廉そのもの。水底の砂がハッキリと見えていた。

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4つ上の写真と同じポイント。

池からあふれた水が勢いよく流れ出ていた。

この光景を見ることはもうできないのだろうか。とても気掛かりだ。

(2004年08月31日訪問)