旧ハリストス正教会

1階は畳敷きの集会所、2階は礼拝所。

(宮城県石巻市中瀬)

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岡田劇場のある中州には中瀬公園という公園があり、そこにギリシャ正教の教会が移築されている。

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建物は大壁の木造で、二階建て。明治13年に建てられたという。市指定文化財に指定されている。

擬洋風というほどのエグさはなくて、戦前の個人宅の洋館などにありそうな清楚な意匠だ。上品で文化の香りただようような洋館である。

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特徴的なのは内部の構造。このくらいの小規模な建物なら内部は吹き抜けでよかろうと思うが、礼拝堂部分も二階になっているのだ。一階は礼拝以外の集会に使われていたという畳敷きの部屋。以前に、京都の宮津市でも畳敷きの古い教会堂を見たことがあるが、外側は洋風なのに内部は畳というのはおもしろい。

部屋の隅には幅1間、奥行き1間以下の無謀とも思える鉄砲階段が‥‥。横幅があるだけに無謀さが際立つ。

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階段を上りきったところは壁なので、横幅1間の階段があっても人が2列になって昇り降りできるような階段ではないのだ。このばかばかしさがこの建物の一番の見どころか。

二階は聖所と呼ばれる礼拝所だ。板敷きになっている。

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現在は市の施設で、教会としては使われていないが、イコンなどは一応飾ってあった。

イコンの裏側は、建物の玄関の上の塔屋の部分であり「至聖所」と呼ばれる部屋になっている。本来は主教のみが入れる部屋らしいのだが、現在は部屋の中まで見学することができる。

(2001年08月15日訪問)