《このレポートは新潟県中越地震の被災以前の訪問記です》
帰省2日目。新潟県の山古志村へ牛の角突きを見に出かける。角突きは正午開始ということだが初めてのことだったので早めに山古志村に着くようにした。ところがあまりに早く着きすぎたため、会場はまだ準備中の様子。正午までの時間で、付近の棚田を見て回ることにした。
山古志村といえば知る人ぞ知る棚田の村。田んぼ好きの人間にとっては実はパラダイスのようなところなのである。
まず、闘牛場の近くの大久保という集落へ向かった。その大久保集落のある羽黒山の最頂部付近で見かけた棚田が写真だ。
すばらしい狭さと傾斜。だが、さすがに休耕田になっていた。
山古志村の棚田は一般的な山里の田んぼに比べて1枚の面積が広いのが特徴だ。いわゆる千枚田のような効率の悪い田んぼは少ない。この辺りは超ブランド米の産地北魚沼郡からも近く、少しでも効率的に米を生産する必要があるのだろう。
それでも急峻な山の斜面に造られているのには変わりはない。田んぼの後方にはいきなり深い谷が落ち込んでいるから、まるで水田が空中に浮いているように見える。
そして、こうした田んぼが一番美しいのは、代掻きから田植えまで季節だろう。
訪れたのは5月4日。牛の角突きは1年で9日しか行われないので、棚田と一緒に見学するにはGWがベストな季節といえる。
代掻きが終わった直後の田んぼを調べている農家の人がいた。
水面に映るは逆さまになった杉の木立は山古志村の典型的な春の風景だ。
角突き会場からは、牛の吠える声が谷を渡ってくる。
続いて、虫亀地区へ向かう。
虫亀は民宿や学校がある村の中心部で、広いすり鉢状になった谷の縁の部分に人家があり、すり鉢の内側が棚田になっている。
複雑な地形、さまざまな形の田んぼが折り重なっている。
途中、とつぜん雨が降ってきた。雨にかすむ棚田もまた美しい。
続いて、村の北西部にある金倉山へ向かう。
最初、道を間違えて写真の真ん中に見えるあたりに迷い込む。トラクターしか入らないようなあぜ道に車を入れてしまい「もはやこれまでか」と思ったが、腹をすりながら辛くも脱出。そしてなぜか途中で脱輪してもがいていた農家の軽トラを逆に救出してしまった。農家の人もこんな場所で他府県ナンバーに救出されるとは思わなかったろう。
金倉山は山古志村のなかでも標高の高い場所で、眺めが良い。
南の方向を眺めれば、まだ雪を頂いた信越国境の山々が視界に飛び込んでくる。
このあたりは人家はほとんどなく、山全体が棚田になっている。比較的最近開墾された地域なのかもしれない。
田んぼのように見えるものが全て田んぼではなく、半分くらいは溜め池だ。川のない山の上につくられた天水田なのである。
ちょうど代掻きをしていた。
その拡大写真。
一つ一つの田んぼがかなり大きいことがわかるだろう。
溜め池の一つ。深い緑色をしているので、肉眼ではすぐに田んぼとは区別できる。
錦鯉を飼っている溜め池もあった。山古志の隣の小千谷市は錦鯉の生産が盛んな場所で、山古志村でも錦鯉は盛んなようだ。
金倉山棚田パノラマ
(2002年05月04日訪問)