安福寺の資料館は本堂の左側にある長細い建物で、4つのゾーン(ヒョウタン展示コーナー、昔の暮らし展示コーナー、戦争展示コーナー、野外展示)に分かれている。
この資料館が安福寺を中国屈指の珍寺たらしめているのだ。
まず最初にあるのはヒョウタン展示コーナー。参拝者の休憩所も兼ねていて入場は無料。
天井からは無数のヒョウタンがぶら下がり、ショウウインドウの中にはヒョウタンに絵が掛かれた人形やなどの工芸品が納められている。
そのヒョウタン展示室の突き当りに、暗い通路が待っている。第2展示室の入口だ。
本当に営業しているのか? と一瞬不安になるような状態だが、案内板に書かれているスイッチを押すと、展示室に電気がつく。この電気はタイマーになっていて、一定時間で消えるようになっている。
拝観料は100円。下にある箱に入れる。
昔の暮らし展示室。片側が通路になった細長い部屋だ。
田舎の民俗資料館などへ行くと、農家の納屋からもってきた民具などが乱雑に置かれていてることが多いが、この資料館の特徴はその民具を使っている様子を再現した徹底したジオラマ指向にある。
だが、そのジオラマ展示を見てぎょっとなるのは、人形が縁日で売っているようなセルロイドのお面をつけていることだ。
マネキンなどを使っているのではなく、適当な詰め物をして自作した案山子(かかし)のような人形なのだ。手は軍手で造られていたりする。
異様な脱力感と、一種の不気味さが漂う展示だ。
展示されている内容はしごくまとも(だと思うの)だが、このお面によって見ているこちらがが恥ずかしくなるような、見るに耐えない空間になってしまっている。
逃げるように民具展示室から脱出すると、短い渡り廊下があり、その先にまた薄暗い通路が見える。
その先は戦争資料展示室になっている。
通路は山にそってすこし傾斜していて、その傾斜にそってショウウインドウが並んでいる。
先ほどのお面人形と違って、顔が自作されている。稚拙な造りだが先ほどのような違和感はない。
と思ったらまたお面が‥‥。
戦争資料の展示とはあまりにもイメージがかけ離れているだけに異様さも格別。
展示されているのは、軍服、ヘルメット、靴、銃など、当時の兵士が身に付けていた衣類や装備だ。
この建物はでは展示資料が傷むのではないかと心配になってしまう。
三八式歩兵銃か。銃剣もついている。
その他、銃弾、砲弾など、こんなものをどこから入手したんだろうと思わせるものばかりだ。
銃剣など、ちゃんとしかるべき所持許可をとっているのだろうか。
戦争展示室の最後にあるのが、原爆の展示だ。
やはり広島県ということだからか。それにしても中学生の文化祭の展示じゃないんだから、この欠き割りはもう少し何とかならなかったのか。
「頭の毛はぬけ、はだはケロイドとなる。」という短い説明があるだけ。
古い木材の間に、全裸のマネキンがころがしてある。どう見ても日本人には見えないのだが‥‥。
別の意味で悲惨な展示だ。見ていてつらくなる。
(2001年05月04日訪問)
ヤマケイ文庫 ニホンオオカミの最後 狼酒・狼狩り・狼祭りの発見
文庫 – 2022/11/2
遠藤 公男 (著)
ニホンオオカミはどうやって絶滅したのか?
古文書をもとに、その最後をみちのくの山里にたどるノンフィクション!
amazon.co.jp