会津高田湧水群

町内で見つけた湧水は今もよく手入れされている。

(福島県会津美里町宮林甲)

会津高田町は会津若松市の西方にあり、会津盆地の西の縁にあたる。中心街はJR会津高田駅の南側の集落であり、ここは栃木方面と新潟を結ぶ街道の宿駅であった。勘が鋭ければ今でも町並みに宿駅の面影を感じ取ることができる。

会津高田町はただ通過するだけのつもりだったが、道路の際に湧水があったので車を停めてみた。

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写真は伊佐須美神社北側の湧水。名前は姥清水か。上屋があり今でも清掃されているが、水量はあまり豊かではなくポンプ式の井戸も併設されていた。

車通りのある道路に面しているので比較的目に付きやすい湧水だ。

➡場所

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「湧水」と言うとどこか深山幽谷のようなところで湧き出しているようなイメージがあるが、いわゆる湧水群というような場所は、平野や盆地の周辺部にあって、平たんな地形であることが多い。もともとは扇状地や河川跡で伏流水があるために、地下水が浅くなっていて、至る所から水が湧き出ている。水が豊かであることから水田地帯ともなっている場合が多い。

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同じく町内仲町付近の湧水。町内は南北に長い町並みを形成していて、この湧水を見つけたのは街道に沿っている裏通りだ。

➡場所

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上屋には水神が祭られている。写真左側の民家の敷地に接していて、なかば個人所有のような感じになっているが、道路を通る人は自由に水を酌むことができる。かつては街道を往来する人馬がのどを潤したこともあっただろうと想像される。

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水場部分である。水船が3段階に仕切られている事が見て取れる。

最も奥の区画は、水がわき出ている水源であり飲み水を汲む区画である。

2番目の区画は野菜を洗ったり、スイカなどを冷やしたり、主として食べ物を洗うために使われる。

3番目の区画は、洗い物をしたり牛馬の飲み水を汲んだりする場所で、それぞれに別の用途で使われる。

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各区画には段差がつけられており、汚れた水が逆流しないように工夫されている。名水百選などに指定されている全国の著名な水場はおおむねこのような使い方になっている。くれぐれも上流の区画で手を洗ったりしないように注意したい。

1つ目に紹介している姥清水は道路の拡幅で埋め立てられてしまってたようだ。

(1999年08月22日訪問)