藤倉二階堂

これは「二階」ではなく「二層」だろう。でも国重文。

(福島県会津若松市河東町倉橋藤倉)

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正式には延命寺地蔵堂。二つ名を「藤倉二階堂」と呼ばれている。別に2階建ての堂ではなく、単なる裳階(もこし)付きの仏堂で、私に言わせれば「重層の堂」だ。この堂を2階と呼んでしまうのは、重層建築へ執着する会津盆地の風土のなせるわざなのか・・・。

この後見学する、御三階さざえ堂左下観音堂など、いずれも3階の堂であり、これほどの密度は他では例を見ない。なにしろ3階の仏堂というの自体が(三重塔を除けば)そうめったやたらにお目にかかれるものではないのだ。

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地蔵堂(二階堂)は室町中期の建築ということで、国重文に指定されている。5間四方だが、裳階部分は吹き放たれており、内陣3軒四方部分にのみ壁があるという特異な構造をしている。

屋根は桟瓦葺きで素朴な感じであるが、凛とした雰囲気に国重文の貫録を感じる。

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地蔵堂の右奥に見えるのが本堂である。

本堂自体は取り立てて語るほどの建築ではないのだが、山門、地蔵堂、本堂が一直線にならぶ伽藍配置は、古い形式の寺院を彷彿とするものがあると感じてしまうのは私の考え過ぎだろうか。

(1999年08月22日訪問)