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片山公園のタコ山モドキ

(大阪府吹田市出口町)

豊中市の服部緑地から吹田市の片山公園へと向かう。地図を見る限りは豊中吹田線の一本道だ。これなら迷う心配はないと気楽に走っていると、道は突然一方通行出口になっていて進入できない。「そんなバカな、もしこの道が直進できなかったら豊中の人が吹田へ行く方法がないではないか!」見れば前の和泉ナンバー車も困惑しつつ、なんとか吹田方面に向かおうとしているようだ。地図を見る限り他に道もないので前の車についていくと、いつしか死ぬほど狭い路地に突入。車のすれ違いはおろか左右の住宅の前に三輪車でも置いてあったら車から降りてどけなければ通行も出来ないほどの尋常ではい狭い路地だ。よく見ると前の車も必死で地図を見ている‥‥とんでもない場所へ来てしまった。結局なんとか狭い道を切り抜けて片山公園に到着したがどうも釈然としないものが残った。

片山公園(左写真)は、市民プール、市民体育館、中央図書館などの施設が集中する吹田市の中核施設だ。タコ山がありそうな西側からアプローチしたが年末のためか駐車場が閉鎖中。駐車場前に2〜3台置けそうなスペースがあったので強引に駐車して西口から公園に入った。先ほどの理不尽な一方通行といい、どうも吹田市にはいい印象は持てない。

公園は山の上にあって、落葉広葉樹を中心にした樹木の多い公園だ。

入り口の案内板を見ると、タコの山の所在が平面図に記載(左写真)されていた。名称もちゃんと「タコの山」と明記されているばかりか、スロープひとつひとつがリアルに書き込まれている。

タコ山がある場所も判明したので、足取りも軽くなる。

 

ところが、その場所にあったのは、なんとも形容しがたい異様なタコ山。

こうやって遠目に見ただけでは、中央のスロープの代わりにイボイボの登坂部があるという点が気になる程度で、なかなかこのタコ山の異常さが見えてこない。では近くに寄ってみよう。

これが近影。まず視線の高さに注意していただきたい。異常に小さいのだ。肩までの高さが 1.5m くらいしかない。

これはタコの正面から口の中をのぞき込んだところ。そう言われずにこの写真を見せられたら、何の写真かわからないだろう。

通常のタコ山では口の中は部屋になっていて、頭部も卵の殻のように中は空洞だ。しかしこのタコ山は頭の中はコンクリで詰まっており、部屋であるはずの部分は、口の形状と同じ一定の太さのトンネルになっているのだ。

しかもトンネルは大人がかがまなければ入れないほど狭い。

通常のタコの頭の左側には、右肩へ出るための通路と、右わきの下に滑り降りるスロープと、2つの出口があるのだが、このタコ山では右肩へ出るための通路しかない。そしてその通路の途中に落とし穴のような垂直の穴が開いているのである。

落とし穴を肩の側から見たところ。

この穴を降りると、右わきの下のトンネルに出てくる。

つまり通常のタコ山で右わきの下のスロープになっている個所が、このタコ山ではトンネルと登坂部になっていのだ。

ここまでの説明でも充分に異様なタコだということがわかると思うが、さらにこのタコを決定的に異様にしているのはボディーの仕上げだ。通常のタコ山は滑降部だけでなくボディーも人研ぎ(じんとぎ:モルタルに着色剤と大理石片などを混ぜて塗り、硬化後に削って滑らかにする仕上げ。研磨によって大理石片の断面が表面に現われる)になっている。

ところがこのタコ山のボディーは無着色のモルタルをコテで仕上げて、ピンクの塗装をしただけなのだ。コテのあとも生々しく残っていて、遊具の仕上げとは思えない粗さだ。

アーチ前の滑降部は斜め方向に伸びており、滑りにくそう。

右手親指部分滑降部はそこそこ普通だが、右肩の手すりの終わりのところが円柱状(左写真)になっているのは他のタコには見られない特殊な解釈だ。

左手人差し指側のスロープは最後の部分が通常のタコとは反対側にカーブしており、スロープ全体ではS字カーブになっている。

どうも全体的にみると、タコの右半身はそれなりに本来のタコ山に似ているが、左半身(特に背中側)の構造があまりにもおかしい。

色々な方向から見る(←→キーで操作)

勝手な推測なのだが、このタコ山は本物のタコ山を実見したことのない業者が、写真を見ながら見よう見まねで作ったものなのではないだろうか。その際、左後方からの写真が入手できず、わきの下スロープへの入り方がわからなくて、想像で作ってしまったのではないだろうか。

もちろん、写真で見ただけだから実際のタコ山の寸法もわからず、このような寸詰まりのタコになってしまった、と考えるとすべてが合点がいく。

市の発注担当者はこのタコ山を見て本当に納得したのだろうか。お父さんが子供のおみやげに「機動戦士ガンダム」のプラモデルを買って帰ったつもりが、よく見たら「機動戦隊ガンガル」だったというような場面を想像してしまうのだが‥‥

このページは「滑り台保存館」に協力するために調査したものです。