岩槻人形博物館

雛人形だけでなく近代の人形の歴史が学べる博物館。

(埼玉県さいたま市岩槻区本町)

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続いて、岩槻人形博物館へ来てみた。

2020年にオープンした新しい博物館だ。

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玄関には岩槻の人形職人を主人公にしたラブコメマンガの立て看板があった。

「オタクに優しいギャル」っていうジャンル、ありそうであまりアニメじゃ見かけない貴重な存在だと思う。

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展示物は、人形の製作工程と工具、節句人形、その他の古典人形、郷土玩具、創作人形と広い。

考古学的なもの、民俗学的なものは対象としておらず、あくまでも商業ベース、産業としての人形についての展示となっている。

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人形を作る工程については、道具も含めてかなり細かく紹介されている。

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雛人形は祓に使う形代をルーツとしていると考えられている。古い形態は平面的な紙雛で、それが徐々にリアルな形状、構成になっていく。

こちらは次郎左衛門雛という人形。次郎左衛門という人形師が販売したもので、江戸中期に公家や大名家で流行したという。丸い顔に鉤鼻が特徴。

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古今雛(こきんびな)は江戸後期に成立した雛人形だが、衣装が非常に豪華になり人相も写実的になっているのが特徴。

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有職雛(ゆうそくびな)は宮中の装束や神田がを忠実に再現した雛人形。

金糸銀糸などで過剰にきらびやかにせず、実際の装束を再現したものという。公家や大名家で好まれた。

この作品は五人雅楽という女性楽師が組み合わされたもの。

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平面的に飾られていた雛人形も、五人囃子、三人官女や小道具がセットになると、段飾りというものが生まれた。

男雛と女雛の並べかたは、関東では左が男雛、関西では道が男雛が多いという。

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人形の展示は多岐にわたるが、今回の目的である裃雛はどうかというと、、、

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2点だけ、そっと置かれていた。左側の小さい人形の袖が山繭縮緬(ちりめん)

解説は「裃雛は豊作や養蚕祈願として飾られたため、農村部を中心に広く親しまれました。」とそっけない。

裃雛は岩槻の特徴的な人形なので、もう少し詳しく掘り下げてほしかった。

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こちらは養蚕の女神、絹笠明神。

絹笠明神の人形は他でも見たが、これも岩槻で作られたものなのだろう。

(2023年02月26日訪問)