石川組製糸・繭蔵

土蔵の繭蔵が残っている。

(埼玉県入間市黒須)

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強い雨が斜めに降っている・・・。

群馬の自宅を出たときには気持ちよく晴れていたのに、埼玉県南部は全く天候が違っていたのだ。天気予報見てくればよかったな。

きょうは埼玉県南部(と一部東京都多摩地区)で一日遊ぶ予定だ。まず訪れたのが埼玉県入間市の石川組製糸跡。ここは5年前にも一度訪れているのだが、あとで繭蔵があったことを知り再訪せねばと思っていたのだ。前回訪れたときには足場が組まれてまったく見えなかった迎賓館もきれいに改修が終わっていた。

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迎賓館内部は決まった日に一般公開されていて、その日数は年間で50日以上あるので、かなり親切。

きょうは学校の社会科見学か何かがちょうど終わったところみたいでガイドさんがいた。わたしはどうしてもこの洋館が見たいというわけではなく、ただこの建物の中に繰糸機などの生産設備が移設されて展示されていないかが気になるだけなのでガイドさんに尋ねてみたところ、そういったものは無いとのこと。

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たぶん文化財的価値が認められて保存されるのは、こうした外見に特徴がある建築物だけで、製糸工場のスレート葺きのすすけたようなのこぎり屋根とか、薄暗い木造倉庫など生産に直接関係した設備が保存されることはないのだ。

それは、ごく最近取り壊された高知県の藤村製糸長野県の中込の製糸工場などを見ればわかる。

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さて、きょうの本題「繭蔵(まゆぐら)」である。繭蔵は、製糸工場が生糸の原料である乾繭を備蓄するための倉庫のことだ。

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実は繭蔵の隣りには石川組製糸第一工場の旧事務所も現存している。

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近代和様の建築物で、たぶん1階が事務所、2階が会議場のような使われ方だったのではないかと思う。

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前回、石川組製糸の工場の遺構をけっこうまじめに探したのだが見落としてしまったのは、工場があったとされる敷地から離れた住宅地の中に残っていたからだ。

図は第一工場で事務所と繭蔵があった場所と、現在ある場所の関係。事務所は曳家したとされている。

繭蔵は曳家する理由が思い浮かばないが、国道16号バイパスに掛かっているので、立ち退きの際に無料で曳家できたと思われるから、家財を入れるためについでに曳家したという可能性もある。

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繭蔵は土蔵造りで3階建て。第一工場には、大中小3棟の繭蔵があったようで、もしこれが移築であれば「中」の蔵だったと推定される。

現在は個人所有のガレージになっている。敷地には入れないが、外から見ることができる。

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雨がひどくて面倒くさいが、敷地を裏の方に回り込んでみよう。

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横から見たところ。

もう、カメラのレンズを拭きながらの撮影になっている。

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裏側から見たところ。

これはすぐに繭蔵ってわかる姿だが、たぶん表通りを車で通ったくらいでは気付かないだろうなぁ。

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屋根が崩れ始めているので、下手をすれば取り壊される可能性がある。

気になる人は早めに見ておいたほうがいいだろう。

(2022年07月13日訪問)