さいたま市立博物館

赤山渋の企画展をやっていたので見にいった。

(埼玉県さいたま市大宮区高鼻町)

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きょうは昼前に大盆栽まつりを観たが、実は本来の目的地はこちら「さいたま市立博物館」3月から開催してきた企画展「自然染料 赤山渋」が今週末までなので慌てて出かけてきたのだ。

駐車場は盆栽村付近に借りたのでそこから大宮公園の中を通って徒歩で市立博物館まで移動した。距離は1.5kmほど。細かく駐車し直すのが信条のわたしにしては珍しいが、途中の氷川神社や参道なども見たかったのでそのほうが都合がよかった。

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「赤山渋」とは、かつて大宮台地で生産されていた柿渋(かきしぶ)の名前だ。江戸末期から戦前くらいまでに盛んに生産され、江戸(東京)を中心に出荷された特産品だった。

柿渋は和紙、漁具などに塗布すると防虫・防水になり、堅牢にもなる。化学製品がない時代の優れた塗料だった。わたしが子どものころはまだ柿渋が魚捕りのビクなどに塗られていて、わずかに身の回りで見かけることがあった。

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赤山渋の名前は、この地方を納めていた伊奈忠治の拠点があった「赤芝山」に由来するという。3日前に訪れた大東の富士塚の北側の道は、伊奈忠治の陣屋をつなぐ街道で「赤山街道」と呼ばれている。

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展示物は柿渋を製造するための器具が中心。

ただ、養蚕のような独特に発達した奇妙な道具があるというわけではなく、汎用的な農具が並んでいるように見えた。

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圧搾の道具。

柿渋製造専用なのかはわからない。菜種油を搾ったりする道具と同じじゃないのかな。

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かつての柿農家が並ぶ街道。

柿渋農家は見沼田んぼ周辺の台地エリアに多く分布していた。

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こんな納屋で柿渋を製造していたのだ。

最後の柿渋農家は緑区上野田にあり、昭和52年(1977)まで生産していたという。

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典型的な使用例の番傘。

和紙に柿渋を塗布することで、雨にぬれても大丈夫になるだけでなく、繰り返し折り畳んでも敗れにくく堅牢性も増す。

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染料として布を染めることもあったという。鉄錆び色みたいに染まるようだ。

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常設展示も見ていこう。

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基本的にはよくある地方の歴史民俗博物館で、出土品、農具、昔の暮しなどが展示されている。

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農具の千歯扱き。

ウチにも歯の部分だけがあり、適当に造ったウマに取り付けて使っているけれど、こういうふうに組むのが本来なのか。

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ちょっと気になったのが見沼代用水に関する展示。

いつかこの用水路を丁寧に訪ねてみたいと思っている。

(2022年05月05日訪問)