唯浦漁港

大正時代の海難を伝える碑がある。

(島根県出雲市美保町)

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高野寺を離れ、峠を越えて日本海が見渡せる場所へ出た。ここから海岸線の漁港をいくつか経由しながら、島根半島の西端の日御碕まで行く。

まず最初にあるのは唯浦漁港。

前回のときは雨で沈んだ色に見えた海も、今回は目が覚めるような美しい青だ。

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村は高台にあり、急な崖に作られた橋で港へ降りられるようになっている。

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港で目立つのが、岩に刻まれた「義勇」の文字。

これは大正元年の海難の碑だという。

その日は急に海が荒れ、隣りの漁港の塩津の漁船が9隻が遭難し、ここ唯浦へ助けを求めた。唯浦の人々は塩津のために船を出し6隻を救助した。だが残り3隻を探すため唯浦の男たちは再び捜索に出て、そのまま戻らなかった。唯浦の15人が犠牲になったという。その偉功をたたえるためにこの岩に彫られたものだ。

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そんな悲壮な海難事故があったことは想像もできないような穏やかな港だった。

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唯浦漁港の東側の岬にある小さな島「大ジカ島」。

(2005年09月02日訪問)