アジヤヤマペヤ僧院

ナンロン村を代表する僧院。

(ミャンマーカレン州パアン)

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パアン市に到着した次ぐ日、職場のスタッフがダザウンダイン祭りという、気球を飛ばす祭りに連れていってくれることになった。場所はパアン市から10kmくらい南東に行ったところにあるナンロン村。

私たちを載せた車は、その村にある大きな僧院へと向かった。このころになると市内近郊にある寺はだいたい場所を把握しつつあったが、ここはまだ立ち寄ったことがない僧院だったので一ヶ所訪問する手間が省けてラッキーという感じ。

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国道沿いにある総門から 500 mほど入ると、山門と伽藍が見えてくる。

山門を入った正面が僧房のような建物なので、ここは参詣用の寺ではなく、修行のための寺である。ミャンマーの寺には、いろいろなタイプがあり、物見遊山的な観光寺院もあるが、その他に、学校の役割を持った寺や、修行のための寺、在家信者が瞑想するための寺などもある。

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僧房。山門を入って正面にある2階建ての建物。

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奥のほうは大講堂と思われる。

まだ建設中だ。

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山門の横には小さな僧房。

もしかすると食事をとるための食堂(じきどう)かも知れない。

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小さな僧房には沐浴用の水槽があった。

ミャンマーでの入浴はこのように手桶で頭から水をかぶるというのが普通。

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その裏側は東司(とうす)。つまりお寺のトイレである。

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境内で偶然に職場のスタッフの眼鏡っ子を発見。チェリーシィンというのが本当の名前だが、ミャンマー人は本名のほかに愛称があって普段は愛称で呼ばれる。この子はチェリー。

そういえば、この子の家はナンロン村だって言ってたな。

「ハーイ、私はここで子どもたちを教えてるのヨ」

「えー? チェリーは村では先生だったんか?」

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「お寺、案内するから、いらっしゃーィ」

「これはパゴダよー」

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「ブッダのお堂ね」

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内部。床がタイルなのは、履物を脱いで上がり、床の上で跪拝するためである。

仏像の頭の上がとがっているのは、タイやミャンマーの仏像によくある装飾。手のポーズは「触地印」で、ミャンマーでは最も多く見られる印相だ。

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「鐘のつき方を教えるね。撞木で地面をかるく叩いてから、鐘をつくのよー。」

「これを3回繰り返すのが、カレン方式なのヨ。」

「心の中では、仏陀に感謝します、仏教に感謝します、お坊さんに感謝します、って唱えてネ」

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「チェリー、あの塔は何ていうの? 必ずパゴダと一緒に建ってるよね、どういう意味なの?」

「ウーン、名前も由来も知らなーい」

この塔、これまで仏教徒のミャンマー人に何度か質問してきたが、意味ははっきりわからない。いまのところ、アショーカ王の石柱が元ではないかと勝手に解釈しているのだが。

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「これは修行の仕上げをするところネ。」

どうやら、得度(とくど)式を行う堂のようだ。つまり、修行者が正式に僧として認められる儀式を行う場所である。そのためだけの堂であり、他の用途には使われないらしい。こうした建物は何度か見かけたがその用途がやっとわかった。

日本のお寺にはこれに該当する建物はないと思う。「得度堂」とでも名付けようか。

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「あの建物は講堂ヨ」

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「私はここで子どもたちに、仏教のことをいろいろ教えているの」

日本ではわずかにある尼寺をのぞけば、寺は男だけの世界なのだが、ミャンマーでは女の子も通って一緒に勉強できるようだ。

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「ウチのお寺の住職ョ」

ミャンマーでは人気のあるお坊さんは、ポスターやブロマイドが売っている。

後ろに大きな気球が写っているが、この村の気球祭りはこの寺の主催なのだろう。

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山門のあたりに戻ってみると、毛布がたくさん集められて車に積まれている。これはどうやら気球祭りで使うもののようだ。

(2014年11月07日訪問)