ガバーロンパゴダ

コブラ光背の大仏がある、ズェガビン山麓の寺。

(ミャンマーカレン州パアン)

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山登りでのどがカラカラだったし、雨が降りそうな空模様だったのでいったん街まで戻る。だが、駄菓子屋で缶ジュースを飲んでひとやすみしていたら天候が回復してきた。

ずっと雨続きであまり外出もできない雨季なので、天候が持ちそうなら少しの時間も惜しんで寺参りに行かねばならない。

あまり計画もなかったのだが、ズェガビン山の西麓を巻いてみることにした。

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ズェガビン山は山麓に道路があり、一周しても30kmくらいしかない。パアン市からは自転車でも行ける距離だし、オートバイであれば簡単にひとまわりできる。

その西麓にちょっと気になった山門があったので、行ってみることにした。

遠目から地球儀のようなものが見えてくる。

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これがその山門。

寺の名前はガバーロンパゴダというようだ。以前に山の東麓でも同じ名前のパゴダがあったが、関係があるのだろうか。

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地球儀の上には誕生仏が乗っている。

ミャンマーの釈迦の誕生伝説のストーリーは、日本人が知っていものとほぼ同じだ。釈迦の母・摩耶夫人が象が脇に入る夢を見て釈迦を懐胎し、釈迦は生まれてすぐにこのようなポーズをとって「天上天下唯我独尊」としゃべったというものである。

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寺の境内はズェガビン山の絶壁の山麓にあって、山を背景にたくさんの立像が作られつつあった。

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背後にはズェガビン山の峯のひとつがそそり立っている。

仏像の表情はちょっと独特。どこかで見たような作風だが、思い出せない。

印相も見たことないタイプだ。

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千体仏エリアはまだ建設中なのに、すでに雑草が多い繁って奥までは立ち入れない有り様だった。

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少し坂を下りていくと、コブラ光背の大仏が見える。

そちらへ行ってみよう。

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途中には講堂のようなものが建築中だった。

1階は多少できているが、2階は屋根もないまったくの未完成。

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1階にはお坊さんが説法をするときに使うと思われる椅子と、野外に並んでいる仏像のコピーが3体あった。

また同じ印相。

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マイナーなお寺にはめずらしく、お参りに来ていたミャンマー人の家族がいた。

この姉妹と一緒に大仏を参詣。

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大仏は池の水上に作られていて、池の手前には遥拝所のようなものがあった。

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コブラ光背の大仏。このコブラは日本でいえば龍でありミャンマーでは「ナガー」と呼ばれる。

コブラ仏はこれまでにも何度も紹介しているが、少し詳しく見てみよう。仏陀の印相に注目すると禅定印をしている。つまりこの仏像は瞑想をしている姿だ。

釈迦は悟りを得たあとすぐに教えを広めたわけではなく、しばらくのあいだ色々な場所で瞑想し、悟りを得るに至った筋道を振り返ることにした。その瞑想は、菩提樹の下で7日、アジャパーラの樹の下で7日、ムチャリンダの樹の下で7日つづいた。

ムチャリンダの樹には龍が棲みついていたが、龍は釈迦を見て仏陀が現れたことをすぐに悟った。おりから雨雲が広がり、嵐は7日間吹き荒れたが、龍は自らが雨除けとなって仏陀の瞑想を助けたという。

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ナガーの造形は中々に細かく、かっこいい。

ウルトラマンの怪獣にこんなのがありそうだ。

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後ろはびっしりとうろこが造形されている。

ミャンマーの仏教美術って基本的に左官技術だよね。

(2014年07月06日訪問)