赤城大沼用水の円筒分水

二重連の円筒分水で4つに分水している。

(群馬県前橋市富士見町赤城山)

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県道4号線、通称「赤城県道」。現代では赤城山の山頂部観光の主要ルートとなっている道だ。標高350mを過ぎたあたりからは田畑も少なくなり高原の様相を呈してくる。そば屋の銘店「桑風庵」を中心として、最近ではそば屋銀座にもなりつつある。

その桑風庵の近くに円筒分水がある。

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円筒分水とは、用水を下流に向かって分水するための仕組みである。水をいったんサイフォンのように地下から湧き出させて、円筒状の部分からオーバーフローさせる。このとき、円周の角度に応じて水量が分割されるのだ。

全水量の増減に応じて常に一定の割合で分水でき、見た目でも確認できるため、下流域での水争いなども起きにくく、すぐれた治水方式だといえる。

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この円筒分水がある用水は「赤城大沼用水」という名前で、赤城山頂にある火口湖「大沼(おの)」と、「赤城白川」の水を集めたものだ。

直列に2連の円筒分水があり最終的にで4本の水路に分水される。

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これは第一円筒分水のすぐ上部。

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ここから水がサイフォンに引き込まれる。

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湧き出しているところ。

このように360度の円周に水がオーバーフローする。

ただし、写真右側部分はあふれ出た水が見にく造りになっているのが残念。これは、3分割するようになっていて、1/6、1/6、4/6の比率で分水されるようだ。

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4/6の水量が、次の第二円筒分水に導かれる。

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700mほど下流にある第二円筒分水。

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こちらは1/2、1/2の2分割。シンプルな分水だ。

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分水は県道のすぐ横にあるので、気軽に見学できる。

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第二円筒分水のすぐ上流にある排水施設。

用水の本流の流れを止めるために、赤城白川に放水するための水路ではないかと思うのだが、そもそもこれは用水なのだから、水を止めたければ取水口で取水しなければよいはず。

この設備は何のためにあるのだろうか。

(2013年08月15日訪問)