タトン郊外のドライブイン

国道8号線のタトン界隈の風景。

(ミャンマーモン州タトン)

ミャンマーでの最後の週末、社員旅行でチャイティーヨーへ遠征することになった。

先週のムドン寝釈迦見学につづき2度目の社員旅行になってしまった。寝釈迦行きは私の希望で急きょスケジュールされたものだが、今週のチャイティーヨー行きは着任した日に聞いたスケジュールにも入っていた正規の社員旅行なのである。

朝6時にパアン市を出発。トラックの荷台に揺られながらAH1号線を西へ。途中、モンの古都タトンを経由し、チャイティーヨーへの玄関口であるチャイトーを目指す。距離は150kmくらいあるだろうか。パアン・ヤンゴン間の半分くらいの道のりになる。

長い道のりなので、途中で見たものに触れながら、ミャンマーのドライブインを紹介しようと思う。

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ミャンマーの街道を走っていると、無数のパゴダを目にすることになる。宿場町の町並みの中、町と町の間の田園、遠くに見える山並み、あらゆるところにパゴダが見えるのだ。

それらでいちいち止まっていたのではまったく前に進まなくなってしまう。サイトで紹介できるのはほんの一部でしかない。実際のミャンマーの旅は、常にパゴダのある風景に包まれた、パゴダ漬け、パゴダまみれの旅なのである。

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そしてもう一つ面白いのが、街道筋にあるお店。

村の特産品が集中的に販売されている。

日本では、全国ネットの流通網のせいでどこへ行っても同じようなものが売っている。ところがここでは、村ひとつ過ぎるたびに、がらっと違うものが店先に並んでいるのだ。

ここはスイカを扱っていた村。

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チュェゴーディーというザボンっぽい柑橘を売る店。

房が大きくみずみずしい。私がミャンマーで食べた果物では一番美味しく感じた。

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レンガを売る村。

素焼きの茶わんを大量に並べた店があった。

小売りしているとも思えない。タトンはAH1号線を走ればタイ国境まで半日。タイから仕入れにくる商人向けの商いなのかもしれない。

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シュロの葉の店。

家の屋根や壁を作る材料だ。

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篠竹を運ぶ、瘤牛の牛車。

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竹材の店。

竹材を専門に扱う村があるのだ。

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竹細工の家具を扱う村。街道の両側に延々と竹細工が並んでいる。

名僧、ターマニャ僧正がまだ存命だったころ、ヤンゴンあたりからも僧正に会うためにパアンにたくさんの巡礼があった。そうした人々が、帰り道にここで家具を買って車の屋根に載せて帰ることが多かったのだという。

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車止めを扱う村。

初めて見たとき、これが何だかわからなかった。(きぬた)か、脱穀のための農機具かと思った。

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後日、長距離バスが使っているのを見て、「あ、これ、あの村で売ってたな」と思い出した。

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タトン方面でもっとも長時間目にする道ばたの風景は、ゴムの林。

これはまだ若いゴムだ。

この広大な畑の雑草対策はどうしているのだろう。あまり人が働いているところも見かけなかったのだが。

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ゴムが少し成長してくるとこんなふうになる。

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大きく成長したゴムの木。

樹皮を斜めにむいて樹液を採取する。

だいたい1本の樹が30年くらい使えるのだそうだ。この樹はもう20年以上は経っているのではないか。

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ゴムの樹液を固めたものが、ゴムの原料「生ゴム」となる。ときどき生ゴムを干している農家を見かけた。

遠目にはセーム革のような感じに見える。初めて見たときは獣皮を干しているのかと思った。

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寺院の前にあった寄進所。

僧房の完成予想画が掲げられている。この建物を建てるための寄付を集めているのだ。

赤と緑に見える物体はスピーカーだ。街道を走る車に向けてかなりの音量で寄付を呼びかけている。日本でこれをやっても中々建物は建たないと思う。だがミャンマー人のお金の使い方はまったくちがうのだ。貧しい国と考えがちだが、こうした寄付が機能しているのを見ると、豊かさや貧しさとは何なのか考えてしまう。

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別の寄進所。

右側に総門が見えるが、寺はかなり引っ込んだところにあるようだった。

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別の寄進所。

近くに寺は見当たらなかったので、寄進所だけが街道に建っているのだろう。パゴダの上に載せる九輪のようなパーツが置いてある。パゴダの寄進なのだろう。

どの寄進所にもスピーカーはかかせない。

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休憩と朝食のためにドライブインへ立寄った。

ドライブインもピンキリだが、ここは中レベルだろうか。現地の人も使えるし、外国人旅行客が入っても大丈夫そう。

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噛みたばこの販売コーナー。

後ろにはコカコーラの冷蔵庫がある。中にはちゃんと本物のコーラが売っていた。私が過ごしたパアン市界隈では、ほとんど目にすることがなかったものだ。

タトンは、モーラミャイン・ヤンゴン街道とAH1号線という幹線道路の分岐点で交易の町。パアン市よりはちょっとしゃれたものが手に入るのかもしれない。

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パンも売っていた。こうしたパン屋もパアン市では見つけられなかった。

左端にある肉ナシのチーズバーガーを食べた。けっこう普通に食べられた。

こうしたパンを食べたのは、ミャンマーに滞在した1ヶ月でこの1回だけだった。

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店内の様子。

テレビでは、お坊さんの朝の説法が放送中だった。

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モヒンガー。ミャンマー人が主に朝食に食べる温かいスープ麺。魚出汁のスープにビーフンが入っている。トッピングは固ゆでのゆで卵、インゲン(っぽい何か)の輪切りや揚げ玉など。一味トウガラシをふりかけてもよい。

油っこくない数少ないミャンマー料理であり、味付けも日本人にも合っていて美味しい。油料理に食傷気味になったときに食べたくなるのだが、朝以外に注文しても断られるみたいだ。

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トイレ。

ミャンマーの田舎のトイレとしてはかなりキレイな部類だと思う。

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個室。

電灯も付いているし、便器は水洗、洗い桶に水を足す蛇口もついている。田舎の個室トイレとしては、100点満点をあげてもいいのではないだろうか。

電灯がなく、戸を閉めたら中は真っ暗、懐中電灯で用を足すというような場合すらあるのだから。

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便器は和式と似ているが、お尻を穴の側に向けてしゃがむ。つまりこの写真では手前のほうに向いてしゃがむのだ。

紙は流せないので注意が必要。紙を流すとほぼ詰まる。正しい方法は、手前にある桶で水をくんで左手でお尻を洗うのである。

このトイレは便器も水洗だったが、そうでない場合は桶で水をくんで排泄物も自分で流す。

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ミャンマーのトイレの99.9%は紙を流すことができない。たとえトイレットペーパーが設置されている洋式便座であってもだ。

外国人向けホテルなどではお尻を拭いた紙を捨てるゴミ箱が置かれているが、それ以外はここで紹介したような構成だ。

手で洗うのに抵抗がある日本人がほとんどだと思うので、外出先では大をしないように気をつけるか、エチケット袋を持参して使った紙を持ち出すのがいいだろう。

(2014年02月15日訪問)