チャウカラッパゴダ

人工の湖に浮かぶ、ねぎぼうずのような奇岩。

(ミャンマーカレン州パアン)

この日予定していた仕事が午前中に終わり、午後いっぱい時間が空いたので、職場の人たちが近くの寺に連れていってくれることになった。職場の人たちも最初からそのつもりだったのかもしれない。事務の人たちも含め、車2台を連ねて、小さな遠足のような感じで出かけた。

巡る寺々は、遠方から客人があったときに連れてゆく定番の半日コースらしかった。

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最初に向かったのは市街地の南、ズェガビン山脈の西側の水田地帯だ。

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田んぼや畑が続く農村風景を見ていると、日本から遠く離れた場所にいるとは思えないときもある。だが、そこここにあるヤシの木を見ると、やはりここは南国なのだと我に返る。

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ほどなく寺の入口に到着。本サイトでの寺の紹介の流れとして、参道もしくは総門から写真で説明をしていくのだが、運転手はそんなことはお構いなし。寺の中心部まで車で乗りつけてくれるので、門の写真は車窓から撮ることになり、タイミングを見極めるのがむずかしい。今回はかなりがんばって、ほとんどの寺で総門を撮影した。

この寺の総門は二本の円柱の間にステンレスのパイプを曲げたもので寺の名前などが書かれている。両側には白いゾウ。山門の右には、てっぺんにハンサーという鳥を付けた白い塔があった。

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総門を入ってからもまだ 500mくらいは参道が続いていて、正面に異形の岩山が見えてきた。

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ここチャウカラッパゴダは自然の奇岩の上に仏塔を建てたもので、パアンの観光名所のひとつ。奇岩の廻りには円形の人工湖が作られている。

乾季だというのに湖には水が満たされている。途中の道から見た水田には水が十分ではないように見えたので、寺には出し惜しみしない国民性がうかがえる。

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拝観料は無料。

入口では鯉の餌にするポン菓子を売っていたので買っていく。

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途中の橋の上から池の鯉に餌をやる人々。

平日なのに十代の子供たちを含む人々が参詣にきていた。いま学校は休みなのだろうか?

民族衣装を着ている人々もいた。

また、写真の左側で深紅のロンジーをはいている男性のTシャツにはカレン独立運動の指導者ソーバウジーの肖像が描かれている。

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池の水は濁っているので、鯉の口しか見えない。

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ミャンマーの奇岩といえば、チャイティーヨーが有名だが、このように不安定な形状で立っている岩には誰でも神秘性を感じるのだろう。ここに寺を建てるキモチはよくわかる。

いよいよ奇岩のある中島に上陸する。

橋の上はサンダル可だが、島に上陸するところで裸足にならなければならない。

この奇岩を見てまず気になるのが手前にかかっている竹製のハシゴ。まさか、参拝客は登らせてくれないよね? メンテ用だよね? でもちょっと期待してしまう。

手前の緑色の屋根は、講堂か食堂のようで、この寺は観光名所でもあると同時に、修行僧が修行できる僧院でもあるのだ。

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島に渡ったところの最初にある沐浴所。

日本の寺で言えば「湯屋(ゆや)」に相当する建物だ。

手前のコンクリの部屋のドアにはミャンマー語で「風呂」と書かれている。奥側の屋根のある吹き放ちの部分には大きな水槽があった。

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この裏側で洗濯をしているようだった。

僧衣がたくさん干してある。

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しばらく進むと、小さなパゴダをいくつも載せた築山がある。手前の樹が邪魔で写真が取りにくく、うろちょろしていると、同行者たちに置いていかれそうになる。

しかもこの築山、歩行ルートから外れているため、下が砂利で足が痛くて近づけない。

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自分としては小さな仏塔もすべて見ていきたいのだが、現地の人がチェックするポイントではないようなのだ。みなどんどん小山に登ってゆく。

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少し登ったところに日よけの屋根があり、水飲み場とナッのほこらがあった。

ナッは、日本でいえば仏教に対する神道か修験道のような感じの信仰。日本でも寺に鎮守社があるように、寺院の中にナッが何の違和感もなく祀られている。祀られている像は、非業の死をとげたりしてナッ神になったとされる伝説の人物だ。

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ほこらを過ぎると、急な階段が現れる。

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これを登っていくと、踊り場があり布を巻いた仏塔があった。

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仏塔の場所から参道方面を見る。

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仏塔の場所から北側を見ると、水上に建物があった。

修行僧が生活する「僧房」ではないかと思う。

この場所からは周囲を見渡せる。下写真の中央方向がパアンの市街地。左右に見える山にも寺院がある。

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この湖の周辺は水が確保されているためか、乾期でも稲作が行われていた。

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岩山の最上部。結局、岩の高さの半分くらいのところで行き止まりになっていた。

屋根が作られていて、瞑想しているお坊さんがいた。

奥のお坊さんの先にハシゴがあるはずなので、前を通らせてもらって奥へと進んでみた。

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ハシゴは山の下のほうから登るようになっている。やはりメンテナンス用か。

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もっとも登らせてくれるといっても、竹のハシゴはあまりにも頼りない。

しなるだろうし、縄ばしごを登るような心地であろう。

あとで通訳さんに聞いた話では、以前は参拝者が登れたという。ホントかね?

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湖の南側には大仏殿を建立中。

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帰り際に大仏殿の方にも行ってみた。

一緒に来た職場の人たちは、あまり興味はないようで、あらかた先に車にもどってしまう。

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建物はまだ未完成だった。

基壇込みで10mくらいの大仏が祀られている。

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大仏殿の裏手にもいくつか建物が見えた。

これがチャウカラッ寺の堂宇なのか、隣の別の寺なのかはわからない。

写真の奥の林に食堂(じきどう)があり、誰でも無料で食事をとることができるということだった。

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後日、ズェガビン山の中腹から撮った写真。チャウカラッ寺の特徴である円形の池と長い参道がよくわかる。奥に見える川はサルウィン川だ。

大仏殿が完成してから再訪したので、その様子を紹介しよう。

この大仏殿はチャウカラッパゴダの本坊くらいに思っていたのだが、どもう別の独立した寺で、チャンタージー寺院というようだ。

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コンクリ打ちっぱなしだった大仏殿は完成して色も塗られていた。

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内部の大仏もきらびやかになった。

面白いのは、四天柱に時計が取付けられているところ。

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大仏殿内に開山堂があった。

この寺を建てたお坊さんと思われる像が祀られている。怖いほどリアル。

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坊主頭に植毛してある。なぜそこまで作り込むかなぁ。

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食堂(じきどう)に行ってみた。参拝者は無料で食事をとることができる。

このときは午後2時くらいだったのだが、昼食がまだだったので食べていくことにした。

お寺のお坊さんは午後は食事をできないのだが、どうも信徒は別のようだ。

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食事はセルフサービスになっている。

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ご飯はクーラーボックスの中に入っていた。

衛生的にどうなの? という感じがあるが、なんとかこのときは大丈夫だった。

もちろんすぐ正露丸を飲んだけど。

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カレーはお寺らしい精進カレー。

味は悪くなかった。

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奥で食器を洗っている。

ここで食事をしたら、自分の食器は自分で洗わなければならないのだ。

(2014年01月23日訪問)