宗永寺

七輿山古墳の東側にある寺。境内にも小古墳あり。

(群馬県藤岡市上落合)

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七輿山宗永寺。「七輿(ななこし)山」の山号は近くにある前方後円墳に由来するものだ。

この場所は鏑川と鮎川の合流点の河岸段丘になっていて、寺は北向きの崖線の崖下にある。そのため、寺の参道は北側に向いている。

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南側の段丘上から寺の全景を俯瞰したところ。

参道は北側に伸びているが、山門や本堂は通常どおり南向きになっている。

群馬県で幼稚園を経営している寺は、比較的立派な寺が多いように思う。

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山門は薬医門。

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薬医門の小屋を見上げると、笈形(おいがた)という飾りがあった。写真の雲のようなデザインの左右対称な部材である。蟇股(かえるまた)とも似ているし、通常なら蟇股があるような位置なのだが、真ん中に束があってその両脇にあることから、これは蟇股ではなく笈形という部材である。

特に、写真の右側の束には、90度づつ3方向に笈形が付いているのは面白い。こういう意匠はあまり見た記憶がない。

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本堂は豪華な建物ではないが、近代禅宗らしい作り。

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どのへんが近代禅宗らしいかというと、入口が建物正面の中心からずれていたり、入口を入って最初の1間が土間になっているあたりだ。

正面、側面がガラス戸になっていて室内は明るい。本堂形式というよりも、方丈ふうの建物である。

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本堂の右側は庫裏。

実はこの奥に古墳があるらしいのだが、見落とした。

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本堂の左奥には古墳。

宗永寺裏西古墳という前方後円墳がある。

墳丘上は住職の墓地のようになっている。

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またその古墳のそばに石棺があった。

だいぶ風化しているが、側面に縄かけ突起があるのが特徴らしい。写真の向かって左側の突起はよく残っていてわかりやすい。

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本堂の前には宝形の堂。

観音堂か何かだと思うが、内部は物置のようになっていた。

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観音堂の横に、円柱状の石灯籠が。

赤城神社で見たものとよく似ている。この地方特有の石灯籠なのだろうか。

ただし、こちらには中台がある。

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無縁仏。

舟形、櫛形など様々な形の墓石があるが、家形の石祠が目立つ。

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寺から南側を見ると、段丘上に白石古墳群が見える。

「ここまで来たのだから、上がってみよう」と誰しもが思うだろうが、寺から白石古墳群へ登る道にはかなり狭い坂があって、大きめの乗用車だと冷や汗が出る。

古墳公園が整備されつつあるみたいなので、この道はなんとかしてほしい。

(2008年12月30日訪問)