光厳寺

特養ホーム併設。北向きの境内の名刹。

(群馬県富岡市下高瀬)

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非観光寺院で栄えている寺といえば、幼稚園や老人ホームを経営している場合が多い。幼稚園を経営するから栄えるのか、栄えているから幼稚園が経営できるのか、その因果関係はわからないが、とにかくそういう一般法則がある。

光厳寺の場合は幼稚園と老人ホームの両方を運営している、と言うのは厳密には語弊があるのだが(おそらく別法人なので)、とにかく光厳寺は富岡市内ではかなり繁栄している寺院だということだけは確かである。

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境内は、鏑川南岸の丘陵の北斜面にあり、北向き。

以前紹介した北向観音と同じ立地だ。

山門は楼門の二天門。

右側は持国天だろうか。

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左側は増長天だろうか。

二天門というのは、四天王のうち、2つを祀っている門のことだ。つまり、「楼門の二天門」という場合は、構造は楼門であり、祀っている神仏として「1階には」四天王のうち2つを祀っているという意味である。

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「1階には」と断り書きが必要なのは、「2階」には別のものが祀られていて、楼門の場合は「2階」に祀ってある神仏は門の名前には影響しないのである。

楼門の2階には釈迦如来や羅漢が祀られている場合が多いが、その場合でも「釈迦門」や「羅漢門」とは言わない。

うれしいことに、光厳寺では楼上に登れるようになっていた。

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楼上には釈迦三尊を中心に、十六羅漢が安置されていた。

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十六羅漢は乾漆仏っぽい精巧な造りで、極彩色。

羅怙羅尊者(らごらそんじゃ)もいる。

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境内の老人ホーム、鏑泉苑。

寺の境内にある施設としてはかなり立派なものだ。

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楼門からさらに進むと、向かい唐門の四脚門がある。

四脚門と楼門を組み合わせる場合、四脚門→楼門の順で配置するのが一般的だが、光厳寺では楼門が先に配置されている。

四脚門→楼門の順番に並んでいるときは、門の機能としての呼びかたは総門→山門だが、楼門→四脚門の場合は悩む。山門→中門だろうか。

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本堂の前はあまり広くないので、本堂の全体を写真に納めるのはむずかしい。

芝生がきれいに仕立てられていて気持ちがよかった。

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本堂の右側には庫裏と、鎮守社が2つ。

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本堂の左側には東司、客殿。

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本堂の裏側には渡り廊下が伸びている。

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渡り廊下の先にあったのは開山堂だった。

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客殿の横には鐘堂。

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本堂の内部。

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東司(とうす)に入ってみた。

東司というのはトイレのことである。

禅宗では、寺院を構成する主要な建物(=七堂伽藍)のうちの一つであり、重要な修行の場でもある。

きちんとした東司には烏枢沙摩(うすさま)明王が祀られている場合が多く、この東司にも写真の左上に祀られているのが見える。

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烏枢沙摩明王の拡大写真。

2015年放送の『仮面ライダーゴースト』の主人公たちが暮す寺「大天空寺」のロケ地として使われている。

(2008年09月20日訪問)