宇芸神社

神楽殿が石段の途中にあるという不思議な配置。

(群馬県富岡市神成)

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前回の訪問から、あまり間を置かずに下仁田・富岡方面を再訪。前回と同様に、東京出張のついでだったため、疲れもあって下仁田に着いたのは昼すぎだった。

前回の梅雨のどんよりとした空と違って、梅雨明けを思わせる爽やかな天気だった。

最初に訪れた宇芸(うげ)神社は、国道254号線から長い参道の続く神社。十数年前にも一度訪れたことのある神社だ。参道の途中に上信電鉄の踏切りがあるのが印象的だ。

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宇芸神社は群馬県に12社ある式内社のひとつなのだそうだ。

神社は丘陵のふもとにあって、境内に入ると小さな公園と社務所、兼、公民館がある。

短い石段を上がると、右側には水盤舎と納屋(左写真)。

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左側には新築の蔵がある。

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さらに石段が続く。石垣が立派だ。石の種類は、みたところ安山岩のようだった。

登りきったところに両部鳥居がある。

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両部鳥居を潜ると、右側に神楽殿。裏側に楽屋みたいな空間への入口があるのが気になった。

神楽殿があるのは石段の踊り場のような場所で、観覧用の空間がない。ここで神楽を演じても、氏子や参拝者は見ることができないのではないか。奉納専用なのだろうか。

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神楽殿から石段を登ると拝殿。

ケヤキ造りで彫り物がごてごてした建物。

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軒裏の垂木は2本ずつ集まったように並んでいる方式で、これを「吹寄垂木(ふきよせたるき)」という。お寺よりも神社で多くみる葺き方だ。

下のほうに見えている虹梁のうねり具合や彫りからみて、年代は江戸末期くらいではないかと思う。

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本殿は一間社流造。意匠は唐様で、組み物は三手先。

ここも全面的に彫り物があって、丸柱にも雲模様が彫られている。豪華な建築を見ているというよりも、仁侠映画に出てくる全身に入れ墨をした男の裸体を見ているような気分になってくる。

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本殿の左側には末社のアパート。

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末社アパートの内部には、大小あわせて9柱の小祠があり、すべて流造。

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そのうち一つには、素焼きの狐がたくさん入っていた。

こういう狐、いまはもう手に入らないのではないかなあ。

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本殿の右側にも末社が2柱。

こちらは春日造りで、造形も凝っている。

(2008年07月12日訪問)