観音山丘陵の養蚕農家

トタン葺きの軽快な印象の2階建てが多い印象。

(群馬県安中市野殿)

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観音山丘陵の西部の養蚕農家の様子。

屋根はトタン葺きか、桟瓦葺きの切妻が多い。桟瓦葺きの場合でも箱棟や妻飾りなどをもった重厚な屋根はなく、軽快な印象をうけた。

また、気抜きには小さな独立した越屋根を持つ農家が多いようだった。

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そのなかで、特に目立った農家。

巨大な換気塔が乗っている。なんだかこの換気塔の空間だけでも、人間一人が生活できそうな感じ。

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内部は3階になっているのだとは思うが、なぜこれほど巨大な換気塔があるのか不思議だ。ちょっと中を見てみたい気がする。

建物は出梁造り。

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坂の途中にある養蚕農家。

蚕室を拡大するために増築していったのだろう。2棟がつながっている。

奥の赤い欄干の建物は、繭を作らせるための上蔟室だろうか。

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坂の上の石垣の部分から二階に直接入ることができるようになっている。養蚕のなかで、最も労働力が必要となるのが上蔟(じょうぞく)という作業だ。上蔟は、カイコの幼虫が繭を作り始める日に、桑と分離して繭づくり専用の棚に移す作業だ。幼虫はいっせいに繭を作り始めるから、飼育室から上蔟室へ休みなく幼虫を運ばなければならない。

そのための工夫も、養蚕農家の見どころだと思う。

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桑原という字の集落。名前からして多くの桑があったのだろう。

このあたりで「丸山稚蚕飼育所」を探したが見つからなかった。奥に見える山が「丸山」だろう。

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桑原で見かけた農家。

やはり増築を繰り返したような作り。

中央にリフトが見える。これで上蔟をしたのではないかと思う。

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小桑原という字でみかけた農家。

土壁の巨大な蚕室がある。

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母屋は右勝手で、右側の継ぎ足したような部分にリフトが設置されている。

母屋から蚕室の2階へは渡り廊下のようなものがかかっているのが見える。母屋から蚕室へは、2階から2階へ移動できたのだろう。

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同じく小桑原の農家。

やはり2棟連結型。大棟の上の換気塔は1つで控えめ。このような越屋根は、上蔟室の換気目的というよりも、囲炉裏の煙を抜くためのものではないだろうか。

(2008年05月02日訪問)