日本すきま漫遊記 稚蚕共同飼育所(赤城南麓) 塩原蚕種

     
 

塩原蚕種

蚕種メーカーの母屋。木造三階の巨大な民家。

(群馬県前橋市田口町)

国道17号線を前橋市街から渋川市に向けて走ると、右側の丘の上に巨大な民家が見える。

塩原蚕種といって、かつてカイコの幼虫を供給していた蚕種メーカー(種屋)だ。

養蚕で使われるカイコは品種改良されたF1種で、卵は冷蔵保存され、農家の生産スケジュールに合わせて、納品日に卵から孵るよう正確に調整される。とても一般農家にできる技術ではなく、農家は種屋からカイコを購入していたのである。

今回の旅のメインテーマである稚蚕共同飼育所でも卵の管理はできず、稚蚕は種屋から持ち帰って飼育を始めるのである。

塩原蚕種は利根川の東側を仕切っていたと言われる最大規模の種屋だった。

母屋は木造三階。越屋根の部分が窓のようにみえるので、見た目には木造四階にも見える。とほうもなく巨大な木造建築だ。いかに栄えていた種屋だったかがわかる。

本稿ではときどき「この物件は県文に値する」などと勝手に書いているが、塩原蚕種については、いまさらここで指摘するまでもないだろう。おそらく前橋市の非文化財物件の中では敷島町の水道タンクと並んで登録有形文化財の指定待ちリストに最有力で名前が挙がっているはずだ。