和歌山県の熊野地方にいわゆる熊野三山と呼ばれる神社がある。熊野大社(=本宮
)、熊野速玉(はやたま)大社(=新宮)、那智大社の三社だ。本家の熊野三社は熊野灘をのぞむ紀伊半島の東岸にある。その写し霊場ともいえる神社が宮城県の名取市にあるのだ。
それらは名取市の西部の山麓にあり、三山の位置関係は本家の熊野三山を縮小したようになっている(下図)。若干、熊野本宮が近いところにある点が気にかかるが、那智大社と新宮の立地は確かに本家の熊野三社を彷彿とさせる。というのも、名取川は熊野川に、三社の東側にひらけた平坦な水田地帯は熊野灘に見立てることができるからだ。写し霊場にはよく西国三十三観音や四国八十八ヶ所を写したものがあるが、地形自体を模した写し霊場というのは珍しい。 |