東漸寺

楼門と本堂屋根は家大工の仕事か。寺らしからぬ建築。

(宮城県仙台市若林区南鍛冶町)

広瀬川を東岸に渡って若林区に移動。次に向かったのはJR線の南側のにある寺町だ。

この付近の地図(クリックのこと)をみると、通りの両側に同じ住所になっているのがわかる。(JR線の北側とくらべるとハッキリわかる。)市街地におけるこのような地割りはかつての町人の町だからウナギの寝床のような町屋が続いているような場所が想像される。

しかし実際の寺町はあえて写真で紹介するほどの古い町並みではなく、駐車場所に難儀するようなあまりぱっとしない商店街だった。

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東漸寺はその商店街の東の外れにあった。

お彼岸の墓参の車で参道の駐車場は一杯。しかたなく山門の中までクルマを入れて、境内に駐車させてもらった。

この山門は三間一戸鐘楼門‥‥‥と言えないこともないが、どうにもはっきりしない物件だった。以前に登米町の養雲寺で見た門とも似ている。

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門を裏から見るとこんな感じ。

仏教建築らしさがほとんど感じられない粗野な建築だ。楼門と言うにはせめて二階に高欄が欲しいところだ。二階に登ることができるが、登ってみたいという気持ちも湧いてこなかった。

山門の裏側に車止めが置いてあったから、普段は境内までクルマで乗り入れることはできないのだろう。

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本堂の屋根がまた形容しがたい形状。

おおまかに言えば養蚕農家のような反りのない切妻の屋根なのである。大棟の箱棟や鬼瓦も寺院らしい豪壮さはなく、民家そのものという感じ。そんな農家のような建物に無理やり縋破風と裳階をつけて、遠目に入母屋屋根のように見せているのだ。初めて見た屋根の収め方だ。収まりはかなり悪いようで所々で瓦がゆがんでいた。

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本堂の内部は比較的普通の造りになっていた。

この本堂、もともとは普通の本堂だったのを移築したか修復した際に、家大工が屋根を作り替えたのではないだろうか。

山門も同じ大工の仕事だろう。

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本堂の右側に玄関、庫裏がある。

(2001年09月23日訪問)