船迫阿弥陀堂

大光院の発汗如来はかつてここに祀られていた。

(宮城県柴田町西船迫)

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船迫無量寿寺(?)阿弥陀堂跡。現在大光院にある発汗如来像がもともと安置されていた場所である。

このあたりを船迫(ふなはざま)といって、かつて奥州街道の宿駅があった。阿弥陀堂は古くはさらに別の地にあったようだが、水害などを避けるため明治九年にこの場所に堂を建てて安置したのだそうだ。

低い丘になっている。

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緩やかな石段を登っていくと途中に山の神が祀られていた。

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阿弥陀堂は荒廃したため、発汗如来は大光院に移されて現在は堂は残っていない。

大きさは三間×三間くらいの堂であったろうか。

更地に石像の写し本尊が置かれている

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その前にはまるで映画「2001年宇宙の旅」の冒頭に出てくる石柱を思わせる御影石の石碑が建てられている。

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この石碑の中央部には六角形の後生車のようなものがはめ込まれていて回すことができる。

内部には鈴が仕込まれていて、回転させるとチリン、チリンとよい音色を響かせる。

鐘や鰐口などのように参詣者が明示的に鳴らすのでなく、回転運動からカラクリ的に音を発生させるという信仰装置は初めて見た。新機軸のものだと言っていいだろう。

このあと、国道沿いのフランチャイズのラーメン店で夕飯をとり、岩沼市、名取市の山ぎわの県道を通って仙台市へと向かった。しかもただ通過するだけではなく、寺社の位置と参詣の価値がありそうかどうかを確認しながらの移動だ。このルートは、旅の最終日に南下しながら見ようと思っている地域なのだ。例によって日程が押してきたので、先に場所を確かめておこうという作戦である。

ところがそのうちの一社がどうしても見つからず、その場所(参道)を探すために1時間以上迷ってしまった。同じ町内をぐるぐる回り、行き止まりの林道や、農家の庭先で終わっているあぜ道まで、ひとつひとつしらみつぶしに探したが見つからない。いくら夜とはいえ、それなりの大きな神社の参道すら見つからないというのはどうしたことか。あきらめて、仙台駅に着いたときには9時近くになっていた。

それから宿探し。駅近くの電話ボックスを見つけ安そうな旅館に当たってみるが、時間が悪いためかどこも満室と断られる。駅前のビジネスホテルなら飛び込めそうだが地方都市の小奇麗なホテルは値段が高い印象があり、できれば避けたいところなのだ。(ちなみに私の旅では税込み5,000円を越えると高い宿ということになる。)最後にかけた旅館で部屋がみつかり、東北大に近い広瀬川のほとりの安宿にころがり込むことができた。

(2001年09月22日訪問)