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さよなら関東

2002年の春、転職で関東を離れることになった。関東で過ごす最後の日々がまたたくまに過ぎていくなか、長野、新潟、群馬に出かけた短い旅の思い出。

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2002年の春、転職のため関東を離れて四国に転居することになった。会社をやめたのが4月頭。次の会社に勤め始めたのが6月頭からだから、実質2ヶ月間自由の身だったわけである。

ところが自由の身といっても、明日をも知れぬプータローの身上。転職活動中では気分も晴れず、遊びに行こうという気も起こらないものだ。4月の中旬には次の会社の内定をもらって一段落を得たが、こんどは新居探し、身の回りの片づけ、引っ越し業者の見積りやらで落ち着かない。あれよあれよという間に時間がすぎてゆく。

高校を卒業して郷里を離れてから引っ越しは6回目になるし、転職も初めてのことではない。だが今回は特別だ。今までは引っ越ししても変わるのは住所だけ、転職しても変わるのは勤め先だけという状況だった。今回はよく遊ぶ友達とも別れなければならない。冷めかけていた恋人とも、サークルの仲間とも、職場の知り合いとも、住み慣れた町とも、仲よくなったキジ猫とも、いっぺんに別れてゆかなければならないのだ。

残された時間が限られているとわかったとき人は何をするのだろうか。今回の転職でわかったことは、私はあまりジタバタするほうではなかったということだ。関東を離れるのだから、まだ行ったことがない場所やもう一度行っておきたい場所に最後に行きまくるだろうかとも思ったが、いざあと1ヶ月となると、意外に何もしないものだ。親しい友人と何人か会って、とりとめもなく昔話をしたくらいである。

そんな中、GWの後半、(はやり郷里を離れて暮らしている)弟がやって来て一緒に田舎の群馬に帰省しようという話になった。そして3日間、彼と一緒に群馬を中心に長野や新潟などに日帰りで出かけた。大した旅にはならなかったが、それが関東で過ごした最後の思い出らしい思い出になったのである。