勧能の段畑
(群馬県南牧村)
南牧村(なんもくむら)というところは、ほとんど平地がない山深い里だ。深い谷の傾斜地や川沿いの崖にはりつくように民家が建っている。
そして長野県の臼田町に抜ける県道には古い街道の風情がそこかしこに残っていて、群馬県の街道のなかではかなり見ごたえのある地域でもある。左写真は赤岩という地域の様子。
その南牧村の群馬県川の最後の集落が「勧能(かんのう)」である。この辺りは3階建ての崖屋が多く、いつかはそれだけを見に出かけたいと思っている場所だ。その勧能からちょっと田口峠方向に進んだ道沿いにとてつもない段畑(だんばた)がある。段畑とはつまり段々畑のこと。
左写真。(クリックすると拡大350KB)
ただ昇り降りするだけでも容易ではないと思われるような急斜面を開墾した畑で、耕作面積より法面の面積の方が多いほどだ。法面は垂直ではないから平均斜度は45度まではいかないだろうが、それに近い角度と思われる。
左写真のように1枚の畑に2畝程度しか植え付けができないほどの狭い畑なのだ。まさに「耕して天に至る」光景。
中段写真の拡大を見てもらうとわかるが、畑の右上に見える杉林になっている部分も段々になっており、かつてはさらに上部まで畑が続いていたと思われる。上部のほうには新しい植樹が始まっていて、畑としての耕作面積は減る方向に向かっている。今のうちにぜひ見ておきたい風景である。
農業の景観としては「全国棚田百選」「日本のむら景観百選」があるが、もし「日本の畑百選」というのを選ぶとしたらぜひ推挙したい畑だ。