多聞寺

パステルカラーに塗られた伊東忠太式の鐘堂。

(岡山県矢掛町矢掛)

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矢掛町の旧宿場町の東のはずれにある寺、多聞寺。

総社市へ発つ前に、車でもういちど矢掛町を一巡りしようとしていて、パステルカラーの鐘堂に魅かれて思わず立ち寄ってしまった。

山門は四脚門で、街中の寺らしく周囲を塀で囲んでいる。山門の左側に見えるのは観音堂。

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これが問題の鐘楼。

伊東忠太様式とでも言えばよいか。それをさらにパステルカラーで彩色しているのでかなりインパクトがある。

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山門を入った正面は大玄関で、この建物も大きな千鳥破風に花頭窓という、人目を引くデザイン。

寺では千鳥破風の内部に空間を作ることはなく、当然そこに窓があるはずはないのだ。城郭建築では千鳥破風の中にも部屋を作るので、破風に窓がついているとまるで城のように見える。

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庫裏(もしくは書院か)はさらに白壁に囲まれた立派な造り。

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本堂。

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本堂の前には三十三観音霊場があった。

手前に大きな水盤のようなものがあり水が溜まっている。ひしゃくで観音に水をかける趣向なのだろう。単体の石仏に水をかけるのはよく見るが、三十三観音と組み合わさったもの初めて見た気がする。めずらしいのではないか。

(2001年05月04日訪問)