尊光寺

RC造2階建て。築地本願寺の流れの建築か。

(広島県尾道市久保2丁目)

写真

寺町めぐり23ヶ所目の訪問地、尊光寺。訪問、というのもおこがましいほど、ただ外から見ただけ。

山門は薬医門。

本堂はRC造だがかなりけばけばしい造り。とりあえず、屋根の端の反りと、宝珠のようなラインの向拝が仏教寺院だということの主張なのだろう。

お寺の様式といえば、学校で習うのは和様、唐様、天竺様という3つの様式だ。私の主観でこれに付け加えるならば、

  • 法隆寺様 : 奈良法隆寺の様式。雲肘木を多用し、他に類例がない異様な意匠。
  • 東照宮様 : 安土桃山から江戸初期に出現した華美な彫刻と極彩色を基調にした様式。中国の道教寺院の影響か。日光東照宮ほか、東日本の観光寺や霊廟でよく見られる。
  • 本堂様 : 茅葺き(後にトタン)、桟瓦葺きなどの質素な葺き方が用いられ、屋根裏は疎垂木。柱上の飾りはあっても舟肘木で、組み物や尾垂木を用いない質実剛健な様式。香狭間、花頭窓、千鳥破風、唐破風などの装飾が用いられる点は城郭建築とも共通性を感じる。江戸~昭和に多く造られ、今あるほとんどの本堂はこれではないか。
  • 伊東忠太様 : RC造でインド仏教の意匠をアレンジしたもの。戦前に建築家伊藤忠太によって東京の築地本願寺に用いられた様式。
  • モダン様 : 箱のような無機質なモダニズム建築に輪宝もしくは花頭窓をあしらった程度で仏教ふうを演出した建物。RC造、陸屋根を特徴とする。昭和に多く作られた。

ここまで含めれば、現代の日本に存在する仏教建築の様式はいずれかに分類可能ではないかと思う。

その観点からこの本堂を見るならば、“伊東忠太様"の貧弱になった形式ととれなくもないが。いかがであろうか。

(2001年05月03日訪問)