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「遠野物語」の中には、河童、山姥、座敷童、神隠し等の怪異の物語が多く、その多くが明治以降に起きたこととされ、早池峰山、猿ケ石川などの具体的な地名を織り交ぜて語られるところに魅力がある。
だが「遠野物語」に語られる物語の多くは、普遍的・一般的な伝説であり、率直に言って日本中どこの町や村にもあるようなものだ。しかし、遠野の町全体が明治以降90年に渡って「遠野物語」という文学作品によって磨き上げられた結果、あたかも何の変哲もない原石が宝石に変化するように、他所では感じられない洗練された、わかりやすい土俗性を身に付けた町へと変貌したのである。
遠野の宿を出て最初の訪問地へ向かうとき、朝霧にかすむ小さな社や、自然木を組みあわせたようなゆがんだ鳥居を見て、はずかしながら私の胸はおどっていた。
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