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星宮神社は長良川の支流粥川の谷のどん詰まりにある。その星宮神社へと向かう途中で、ちょっと気になったものが目に入った。それは県道から粥川を隔てた谷の反対側の耕作地で、田んぼが切れて山林の始まるところに見えた石垣だ。その石垣は棚田の法面でもないし、山林の崖の土留めでもないようだった。星宮神社の帰り道、気になった場所で車を停めて、歩いて見に行くことにした。
大きな農家の前に人一人が通行できるような小さな橋を見つけたが、橋のたもとに大きな犬が繋がれている。躊躇していると農家からおじいさんが出てきた。川の反対側へ行きたい旨を伝えると、犬はおとなしいから大丈夫だという。おとなしいと言うのは正確ではなくて、犬は久しぶりに見る他所者にじゃれつこうとして大はしゃぎなのであった。何しに行くのかといぶかしそうに問われたので、半信半疑のまま訊いてみた。
「あそこに見える石垣はもしかしたら“猪垣(ししがき)”というものじゃないですか?」
「若いのによく知ってるね。そうだよ。」
今まで一度も現物を見たことはかったが、やはり想像は当たっていた。石垣はノシシから田畑を守るために作られた“猪垣”だったのである。
見学したい理由を話すとおじいさんの顔からは懐疑の表情が消えて、あばれる犬を押さえてくれたので、私は橋を渡ることができた。
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