万徳寺

重文の多宝塔は午後の見学には向かない。カッコイイ鎮守堂。

(愛知県稲沢市長野3丁目)

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万徳寺は東海道本線稲沢駅から北東に歩いてわずかな所にあるが、寺の周囲の様子は郊外の団地風。

そんな場所に真言宗の名刹万徳寺があるというのは意外な感じもする。

稲沢市は歴史的には律令時代に国衙が置かれたところで、今の団地や工業地帯の地割りはそのころの条里制の名残なのかもしれない。

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実は、万徳寺を訪れるのは2回目。

前回来たときには、肝心の多宝塔が逆光でまぶしくてよく見えなかったという印象だけが残っている。

今回もやはり逆光であった。どうも万徳寺は午後に来てはいけない寺のようだ。

さて、肝心の多宝塔は国重文。檜皮葺きで屋根の反りも美しい。

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その隣には、鎮守堂がある。一間社流造で檜皮葺き。小品ながら実にカッコイイ逸品。室町時代の建築で、ほとんど当時のままだそうである。国重文。

流造(ながれづくり)」というのは、神社の社殿の形式で、切妻屋根、平入りで、切妻の前方の屋根が同じ幅のまま向拝になっているような作りをいう。「一間社(いっけんしゃ)」とは、そのうち間口が一間のもの。

境内には他に、本堂、庫裏、山門、鐘楼。

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境内にある御嶽塚(?)。

塚の手前左側にある家形の蝋燭立てが気になる。今回の旅で見かけた御嶽山信仰の塚にかならず見られたアイテムだ。

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塚はかなり大きなもので、高さは6mくらいはあろうか。山頂に登る道がつけられている。

(2000年03月18日訪問)