日本すきま漫遊記 東北すきま旅(秋田編) 大川寺
大川寺
さざえ堂マニアを惑わす、怪しすぎる重層本堂。
(秋田県大仙市大曲須和町3丁目)
あるお寺の本を見ていたら、大曲市にさざえ堂とも見える寺の写真が載っていた。憎いほどに絶妙な写し方で、写真を見ただけではさざえ堂である可能性を否定しきれない写真であった。
こういう寺の写真を見せられると、理性的には
「ふんふん、さざえ堂に見えるけど、実は行ってみたらタダの堂なんだよね~。」
などと考えはするのだが、内心では1%、いや、0.1% くらいはどこかで期待してしまって、大川寺に向かう私の胸中は穏やかではなかった。
それで左の写真がその実体である。こうしてみてもかなり怪しい本堂である。なにせ、
屋根が宝形造で宝珠を上げている。
2層部分の蟇股の意匠が写りの悪い写真では花頭窓に見える。
1層部分の軒が高く、いわゆる“2層3階"の建築ではないかという比率になっている。
入り口が唐破風でそれが1層の屋根より完全に下に取り付けられている。
‥‥といったあたりからして“さざえ堂度"はかなり高いといってよかろう。
だがしかし、というか、やっぱりというか、その正体はごく普通の本堂であった。外見からは内陣部分が吹き抜けになっているくらいのカラクリはあるかと思えるが、それすらもなく室内の天井高は一般的な寺の本堂と同じだった。本堂に上がらせてもらい、隅々まで検分したが、外見から2層になっている部分は完全なダミーで、内部は屋根裏というか小屋組みになっているだけであろうと思われる。“偽さざえ"には今までも何度も引っかかってきた私だが、これほどスカされたのは初めてである。
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