日本すきま漫遊記東北すきま旅(新潟 山形編)善宝寺

     
 

善宝寺

かつては人面魚で一躍有名に。境内の五百羅漢堂をチェック!

(山形県鶴岡市下川)

地図・MAP
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旅の道程はいよいよ山形県に入った。最初の訪問地は鶴岡市郊外の善宝寺だ。

曹洞宗に属し、愛知県の豊川稲荷、小田原の大雄山ともに曹洞宗の3大祈祷寺と言われている。

砂丘の東面にある境内は広大で、堂宇は、重層門、水盤舎、五重塔、本堂、秋葉堂、選仏堂、龍王堂、五百羅漢堂、竜華堂、書院、庫裏、信徒会館など数知れない。また、門前には数軒の茶店がならぶ。

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それだけの大寺でありながら、さほどの感動がないのは、諸堂宇がいかにも江戸趣味な意匠で飾り立てられているからであろう。微細な彫刻をちりばめることだけに血道を上げ、建物全体のバランスに対して異常なまでに無頓着であった江戸期職人のオタク的な仕事はどうにも評価できない。

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本堂は寄棟造で比較的質素な建物である。

本堂の右手には祈祷受付があり、「次の祈祷は○○時から」という巨大な電光掲示板がタイムスケジュール常時表示している。その合理主義ぶりには驚くばかりである。

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さて、今回この寺を訪れた最大の理由は、境内の五百羅漢堂である。前回訪れたときは夕刻で、諸堂宇が閉じられていたため、どれが五百羅漢堂なのかも確認できなかったが、今回は日中だったため、容易に参詣できた。

羅漢堂は重層門の右手(最上段写真の堂)にあった。残念ながら巡礼式の構造ではなく、だだっ広い堂内の左右に別れて雛壇が展示されてた、島式(?)羅漢堂であった。

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羅漢は極彩色が施され、保存状況はきわめて良好。

左写真ではちょっと分かりにくいが、長押(なげし)部分にまで羅漢が取り付けられている。こんな場所の羅漢をどうやって拝観すればよいというのだ。

もしかしたらこの羅漢堂は新築で、もともとは本堂左手にある現在位牌堂として使われている建物に納められていたのではないかという推測もできる。

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善宝寺の門前には、廃駅が博物館として展示されている。昭和50年に廃止された庄内鉄道湯野浜線の遺構である。湯野浜線は舞鶴から善宝寺を経て、湯野浜温泉へと向かう観光路線であった。

それともう一つ、善宝寺を語るときに忘れてはならないのが「人面魚」である。今から十年以上昔、人面犬という妖怪ブームがあり、それに便乗して全国にさまざまな「人面○○」が出現した。その中でも比較的メジャーになった「人面魚」はこの寺の池に生息していた。私にはあの鯉のどこが“人面"なのか理解できなかったが、とにかくその当時はなんでも人面に見えていた時代なのだ。

以前訪れたときには、人面魚テレカ、人面魚キーホルダーなどさまざまなグッズがこれでもかというほど売られていた。今回門前のみやげもの屋をのぞいてみたが、そのことを偲ぶことのできるグッズは一切見当たらなかった。寺も門前町もあのブームを忘れたがっているのかもしれない。

(1999年08月23日訪問)

   
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