浄念寺

(新潟県村上市)

 

村上市というと、どちらかといえば郊外にある笹川流れや瀬波温泉といった観光地が有名で、市内にはあまり観光客が立ち寄らない。しかし村上の市街は地方城下町としての見どころも多い。曲がりくねった小路や、格子戸の町家が続く町並みを随所に見ることができる。

その町並みの一番濃い辺りの裏通りに浄念寺がある。この通りには前回来たときには映画館の廃虚があり、それも楽しみの一つだったのだが、今回行ってみると公民館に建て替えられていた。まことに残念である。切符売り場を中央に構え、その両側が入り口になっているような地方の映画館の逸品であった。

写真は浄念寺の山門。境内に駐車場がある。

左は本堂の外観である。それほど変わった形状ではない。新潟などの豪雪地帯では、蔵造り妻入りという形態のこのような本堂をわりとよく見かける。

この本堂のすごいところはその内部である。

下の写真のように本尊の背面に二階へと登る階段があり、内陣の上部四方に巡らされたキャットウオークへと取りつくことが可能なのである。

二階へと登る階段には上り口に板でフタがしてあり、登ることはできないようになっている。したがって、ここから先の写真はすべて念写によるものであることをお断りしておく。

二階へ登ると、厨子の横に出る。本尊の阿弥陀如来もよく言えば「大仏」であり、厨子も巨大なものである。屋根の組み物を近くで観察することができる。

キャットウオーク部は、一周することができ内側には欄干が巡っている。

高さは本尊の顔位置よりずっと上で、正面に廻ると本尊を見下ろす感じになる。

左は内陣の天蓋を見下ろしたところ。

大仏殿には時としてこのように二階に登れる構造のものがある。私はこの種の建築には目がない。浄念寺本堂は地方にあってほとんど知られていないという点で、私だけの秘密の宝ものという感じの寺だったのだが、平成3年に国重文に指定されてしまった。しかし平成3年といえば最近のことであり、このことは地方にはまだ知られていない不思議な建築がうずもれているのではないかという希望を持たせてくれるのである。