阿弥陀寺・御三階

三階建ての茶室か? 城郭建築との伝説もある。

(福島県会津若松市七日町)

御三階(おさんかい?)は会津市内七日町駅付近、阿弥陀寺の境内にある。もと会津城内の櫓であり、城主や重鎮が密議を行なった建築であるとまことしやかに語られている。阿弥陀寺境内に移築されたのは明治7年とされている。

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御三階は本堂(北向き)の左手に接合している。

1階部分には唐破風があり寺院建築の玄関の構造と酷似している。

2階部分は開口部が少なく、単に3階に登るための中間的な空間であろうと想像される。

3階部分には四方に欄干が巡らされており、主に西方に開口部がある。外観から想像するに内部は茶室か書院のような構造ではないか。

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御三階の全体像は城郭建築ではない。よく北陸地方の浄土真宗の寺にあるような城郭風の櫓に比べたらかわいいものである。この建築が会津城内から移築されたものだというのは、私は個人的にはかなり疑わしいと思っている。1階部分は完全に寺院風の建築であるし、2階以上もいわゆる城郭建築ではない。

別に正式に調べてケチをつけているわけではないのだけれど、地方の城下町などに行くと、この井戸は抜け穴になっていて城とつながっているみたいな伝説がよくあるが、その種のノリのものではないかと思う。

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ただし、2階3階部分が西方にのみ開口しているというのは重要なポイントである。会津若松城はこの寺からは東方に当たるのでそれを避けるように窓をもうけたのだと考えると、ともすればこの建築は江戸時代からあったのではないかと想像させる。

(1999年08月22日訪問)